EVにV8エンジン風の轟音装備~スポーツカー各社、個性を演出

スポーツカーメーカーは、騒音が出るコンポーネントがなく本来静かなEVに、かつての大排気量エンジンのような轟音を人工的に搭載し始めている。

◇音も魅力の一部

ウォールストリート・ジャーナルによると、EVはかつて騒音軽減を売り物にしていたが、メーカーに言わせれば轟音や振動はその車らしさや魅力の核心だという。

メルセデス・ベンツは今月ミュンヘンで開催された国際自動車ショーで、高性能車ブランドAMGによる初のEVモデルの試作版を披露した。さまざまな議論や微調整を重ねた上で、最高峰の8気筒内燃エンジンを模倣する「V8モード」の音を採用し、トルクが一段階上がる前にモーターが一瞬止まる疑似的なギアチェンジまでも再現した。音はヘッドライト内蔵のスピーカーから流れ、決定版は2026年に発売される予定だ。

また、ステランティス傘下のダッジは新型「チャージャー・デイトナEV」の開発に当たり、「ブランドを象徴する『ヘルキャット』(高性能モデル)並みにやかましいうなり声の車を作る」という明確な目標を掲げた。ケビン・ヘルマン製品責任者は「少しやかましいが、それが面白さの一部。昔からそうだった」と語る。

ダッジは音を決める際、映画音響を手がける会社に「未来的」から「なじみ深い」音まで幅広い提案をさせ、自動車ショーで音源を流すなどの顧客調査を行った結果、「なじみ深い」方向性を選択。「大音量で車体に十分な振動も伝わるので、運転していてEVであることを忘れるほどだ」(ヘルマン氏)という。

◇パフォーマンス芸術

BMWの音響デザイン部門クリエイティブディレクターで、ピアニストでもあるレンツォ・ヴィターレ氏は、自動車を「単なる機械ではなくパフォーマンス芸術の表現法」と捉え、ドライバーを「解釈者、音楽家、あるいは作曲家」と位置付ける。

同社の現世代EVは、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「グラディエーター」の音楽を手掛けたハンス・ジマー氏との協力で作られた音を採用。その一部はミラノ・スカラ座の学生オーケストラによって録音された。ただし、26年米国で発売する次世代EV「iX3」では、単純化を図ってオーケストラ的な効果音をもっと限定的な合成音に置き換える予定だという。

フォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェも、初のEV「タイカン」(19年型)ではエンジン音を人工的に作るのではなく、テストコースで車が発する音の中に本物らしさを求めた。イタリア南部で3週間にわたって録音を行い、「ポルシェ・エレクトリック・スポーツ・サウンド」と呼ばれる音の組み合わせを完成させた。これはオンラインで520ドルで販売されている。

一方、内燃エンジンの遺産を持たないEV専門ブランドのポールスターは、こうした音響演出を拒絶している。ミュンヘンのショーで行なった新型スポーツカー「ポールスター5」の発表イベントでは、階段の一段ごとに約束を掲げ、頂上付近には「フェイクのエンジン音はなし」と表示した。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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