都心を離れるIT企業〜寂れた地区には救世主
- 2013年4月12日
- 米国ビジネス
銀行や保険業界の業務縮小などでオフィス市場に向かい風が続いているが、IT企業向け市場は例外で、高層ビルが密集する都心から離れた空室率の高い地区の人気が高まり、IT企業が寂れた街に新風を吹き込んでいる。
ウォールストリート・ジャーナルによると、サンフランシスコでは、ハイテク業界の拡張を受けて、オフィス需要が下がっていたかつての工業地区サウス・オブ・マーケットに入居するIT企業が増えた。2002年には39%に達した同地区のオフィス空室率は、09年初頭に17%、12年末には5.5%に低下している。活気に乏しかったミッド・マーケット地区も、過去2年間に9社以上のIT企業が入居し、新しいアパートや小売店も増えている。
シアトルでは、3年前にアマゾンが本社を同地に移して以来、昔は製造業が多かったサウスレイク・ユニオン地区に新しいオフィスが増えた。
ニューヨーク市マンハッタン区では、非営利団体やバックオフィス業務の拠点だったミッドタウン・サウスが急成長している。ガーメント・ディストリクト、ユニオン・スクエア、ソーホーといった地区を含むこの地域は、12年第4四半期の空室率が7.2%とミッドタウン(11.7%)を大幅に下回り、新規入居は大部分がハイテク企業となっている。
ミッドタウン・サウスには、レストランや小売業の進出で一部ではオフィス賃貸料が1平方フィート当たり100ドルを超えたミートパッキング・ディストリクトが含まれる。市内でこれほど高い家賃が取れる場所は、これまではセントラルパークを見下ろせるミッドタウンの高層ビルなどに限られていた。
シカゴのノース・ループやボストンのシーポート地区でも同じ現象が見られ、ニューヨーク大学のミッチェル・モス教授(都市計画学)は「職場の拡散が進み、最も洗練された企業が従来のオフィス地区に入居していないこともある」と指摘する。
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