連邦ローン「完済」で論争〜クライスラーとテスラ
- 2013年5月29日
- 米国ビジネス
クライスラーとテスラ・モーターズが、連邦ローンをどちらが先に全額返済したかで論争を展開している。
ロイター通信によると、論争はテスラが今月22日、エネルギー省から借りたローンの残金と利子合わせて4億5200万ドルを電信入金し、「政府ローンを完済した唯一の米自動車メーカー」と自称してこれを公表したことが発端。クライスラーはその4時間後、自社ブログで「テスラの情報は間違いなく誤報。記憶力が悪いのか短絡的なのか、どっちだろう?」と反論した。
テスラは2009年、エネルギー省の先端自動車開発促進事業として連邦のローン保証を獲得した。同じ年にクライスラーは、経営再建のため米国とカナダ政府から計約76億ドルの公的融資を受け、11年に返済している。
クライスラーの復活には09年に同社を子会社化した伊フィアットのセルジオ・マルキオンネ氏が大きく貢献しており、氏の実務的で率直なやり方が重要な役割を果たしたと評価されている。
一方、08年10月からテスラの最高経営責任者(CEO)を務めるイーロン・マスク氏も強力な指導力で知られ、今回もツイッターで「クライスラーはフィアットの一部門であるため、米国の会社とは言えない。さらに重要なのは、クライスラーがまだ13億ドルを返済していないという点。それら2点を除けばもちろんクライスラーが1番だ」と、自社の発表を擁護した。
財務省はクライスラーの支援に計125億ドルを投じ、クライスラーは優良な資産を使って今の会社を作ったが、連邦ローンの多くは「旧クライスラー」に残された。連邦はローン全体のうち約112億ドルを回収したものの、11年に「旧クライスラーから残り13億ドルをすべて回収する可能性は低い」と発表している。マスク氏の指摘はこの数字を指す。
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