富士通、低電力チップ技術をスヴォルタから調達 〜初の製品を量産開始

 ICチップの省電化半導体技術を開発するスヴォルタ(SuVolta)は、富士通セミコンダクターとライセンシング契約を結んだ。設立7年のスヴォルタにとって、富士通との契約は初のライセンシング契約となる。

 スヴォルタは、チップ製造時に応用して低電力化を実現する過程を開発した。

 ギガOMによると、その過程は、チップ上のレイヤーとして使用する化学物質を調整する部分で、スヴォルタはそれを「ディープリー・ディプリーティッド・チャンネル(Deeply Depleted Channel=DDC)」と称している。

 DDC技術を使うことによって電力消費量を50%削減できることが、英ARMとの提携で実証されている。また、DDC技術は既存の製造機械を使って実現でき、ほかの低電力化技術に比べて低コストであるため、大手チップ・メーカーから好まれている。

 富士通は、このDDC技術を採用した初の製品「ミルビュー(Milbeaut)」イメージング・プロセッサー「MB86S22AA」の量産を開始した。同チップでは、消費電力を30%削減しながら、演算パフォーマンスは同等のチップに比べて2倍を達成している。

 富士通とスヴォルタは2011年夏以降、その共同開発に取り組んできた。

 スヴォルタは、ブライト・キャピタル(Bright Capital)やクライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ(Kleiner Perkins Caufield & Byers)、オーガスト・キャピタル(August Capital)、ニュー・エンタープライズ・アソシエイツ( New Enterprise Associates)、ノースゲイト・キャピタル(Northgate Capital)、DAGベンチャーズ(DAG Ventures)から出資を受けており、2012年に1720万ドルを調達した。

 モバイル機器の市場が拡大するにつれ、低電力チップの重要性が増していることが、スヴォルタのDDC技術の需要を高めている。

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