HV用バッテリーに軸足移す〜A123システムズ

 高性能電池メーカーのA123システムズ(ミシガン州)は、電気自動車(EV)の普及が遅れている現状を受け、製造するバッテリーの主な対象をEVから小型ハイブリッド車(HV)に移しつつある。ジェイソン・フォーシア最高経営責任者(CEO)が10日までに明らかにした。

 2001年に創業し、EVベンチャーのフィスカー・オートモーティブなどにリチウムイオン電池を供給していたA123システムズは、フィスカーの業績不振などから経営破綻し、今年1月に中国の自動車部品大手・万向(ワンシャン)集団に買収された。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、フォーシアCEOはEVが世界市場で大きな位置を占めるまでにはまだ何年もかかると見る一方で、自動車メーカーはガソリン車の燃費を上げる安価な方法を求めているため、信号などの一時停止時にもモーターやエンジンを切るスタート・ストップ・システムやHV用のバッテリーは急速に伸びると予想する。「急成長する市場に目を向けることにした」と、同氏は話した。

 A123は、連邦政府の助成を受けて10年に国内初のEV用バッテリー工場をオープンし、生産を拡大したが、当初の予想ほど需要が伸びず、高額のリコールやフィスカーの不振などで資金繰りが悪化して経営破綻した。万向の傘下となった今は社員数を最大時から3分の1少ない約2000人に減らして営業している。

 現在、A123のバッテリーはゼネラル・モーターズ(GM)のEV「シボレー・スパーク」、BMWの3、5、7シリーズのHV版、ダイムラーのメルセデスベンツAMGなどで使われ、F1のレース車やフィアット傘下フェラーリの車にも供給されている。

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