北米西海岸4州、温暖化防止で協定 〜 炭素排出量取引やEV普及を推進

 米国とカナダの西海岸4州は、地球温暖化対策に取り組む地域協定「気候とエネルギーに関する太平洋岸行動計画」を締結した。

 協定を結んだのはカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの米3州とカナダのブリティッシュ・コロンビア州。

 サンフランシスコ・クロニクル紙によると、同4州は、二酸化炭素(CO2)排出量に価格を設定して取り引きするほか、代替燃料の使用や電気自動車(EV)普及を促すための規則を導入し、CO2増加による海水酸性化への対処法を模索する。

 北米西海岸には5300万人が居住し、4州合わせた年間域内総生産(GDP)は2兆8000億ドルで、国にすれば世界で5番目。21日にサンフランシスコで行われた調印式では、ワシントンのジェイ・インスリー知事が「われわれは気候変動の影響を肌で感じる最初の世代であり、何らかの対策を講じられる最後の世代」「行動を起こすのは今だ」と述べた。

 4州は同時に、他州や他地域、引いては国全体を巻き込まない限り協定の効果は薄いことも認識している。カリフォルニアのジェリー・ブラウン知事は、「西海岸における非常に重要な合意の始まりであり、四方に広げなければならない」と呼びかけた。

 CO2排出抑制の手法は同一ではなく、複数の選択肢がある。カリフォルニアの場合、2012年にキャップ・アンド・トレード(排出量取引)制度を開始しており、州がGHGの年間排出量上限を設定し、企業が排出許可権を売買する仕組みになっている。許可の件数は徐々に減らされる予定。

 それに対しブリティッシュ・コロンビアは、単純な炭素税を導入しており、GHG(温暖化ガス)の排出量1トンあたり30カナダ・ドルを課金している。

 ワシントンとオレゴンは未定。両州議会では2009年に排出量取引法案が検討されたが、経済的影響が大きいという懸念からいずれも導入に至らなかった。

 ワシントン州知事は、「州民は明らかに炭素汚染の制限、排出上限の設定、価格設定を望んでおり、われわれの課題はその仕組み決めることにある」「一つだけ明らかなのは、失敗は許されないということだ」と話した。

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