米国のシェール景気、しばらく続く見込み 〜 技術向上や効率化が支えに

 シェール革命による米国の天然ガスおよび石油ブームは、主要産油国の予想に反して今も衰える気配がなく、業界の効率改善が進んで生産量は増えている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、フラッキング(水圧破砕法)と関連技術の向上によって、米国の石油と天然ガス生産量は今夏、ロシアを抜いて世界最大となった。

 米国のエネルギー・ブームをバブルととらえるロシアや石油輸出国機構(OPEC)は、米国の石油と天然ガス業界が「近く崩壊する」と予想しているが、連邦エネルギー情報局(EIA)の専門家は、「技術が改善されて企業の経験効果が上がっている」ため、しばらく継続するだろうと予想する。

 また、良質の産地を掘り尽くした徴候はほとんど見られず、シェール(けつ岩層)をより経済的に水圧破砕することで、米企業は今後も大量のエネルギー生産を続けられる見込みだとEIAは報告している。

 EIAが先日初めて公表した「掘削生産性報告書」は、米国内の油田地帯6ヵ所のリグの効率や生産量、減少量を明らかにしており、それによると、効率が改善していないのはテキサス州西部のパーミアン盆地だけだった。

 一方、同州南部のイーグルフォード・シェールでは生産が加速しており、2013年9月はリグ稼働数が1年前より5%減少したものの、リグあたりの石油およびガス生産量は28%も増加、イーグルフォード全体の石油およびガス生産量は57%増加している。

 シェール開発の専門企業ハルコン・リソース(Halcon Resource)のフロイド・ウィルソン会長兼最高経営責任者(CEO)は、「従業員の半分が効率や坑井設備の改善に専念している」と話しており、業界のそうした努力で国内供給量が増え、原油価格は以前より安くなる見通しだ。

 北米の原油増産は原油価格の安定に寄与しており、この1年ほどは中東の混乱にもかかわらず1バレル=97.80ドル前後を維持している。

 ただ、シェールを掘削するすべての企業が成功しているわけではない。英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは8月、北米シェール事業の簿価を20億7000万ドル切り下げ、9月には南テキサスの資産売却を発表した。特に、天然ガス掘削が利益に響いている。

 天然ガス価格は、シェール・ガスの生産増によって低下し、1000立方フィートあたり4ドル以下に落ち込んでいる。

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