蓄電技術業界、2014年に発展の気配 〜 本格商用化に近づく新興企業たち
- 2014年1月20日
- 環境ビジネス
2014年は、次世代の電池をめぐって画期的な開発が実現する可能性も期待され、蓄電分野にとって話題の多い1年になるとみられる。
ギガOM誌によると、新年はまだ始まったばかりだが、様々な電池会社による重要な発表がすでに3件相次いだ。
まず6日には、携帯電話やタブレット向けのリチウムイオン電池を開発するアンプリウス(Amprius)が、資金調達を発表した。同社の電池は、平均的な電池に比べて持続時間が25%長い。アジアのスマートフォン・メーカーに向けて製品をすでに出荷した実績があり、今年はさらに多くの顧客開拓を目指す計画だ。
一方、送電網向けの蓄電池を手がけるアクイオン・エネルギー(Aquion Energy)も、資金調達を発表した。同社の出資者には、ビル・ゲイツ氏やクライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズといった有名な投資家が多数含まれている。
アクイオンの電池は、ナトリウムや水など安価な素材による積層構造が特徴で、拡張性を実現できる。今年上半期に初の製品を出荷予定で、2015年までにはペンシルベニア州の工場で400人を雇用することを目指している。
送電網向け蓄電池の分野では、アンブリ(Ambri)(旧社名:リキッド・メタル・バッテリー=Liquid Metal Battery)も、今年中の本格的な商用化を目指している。同社は2013年に工場を開設し、来年までにはフルスケールの工場に拡大する計画だ。アンブリもやはりビル・ゲイツ氏を投資家に数えるほか、コスラ・ベンチャーズ、石油大手のトタルから出資を受けている。
さらに、イオス・エネルギー(Eos Energy)も、初の電池製品を今年中に出荷予定だ。ニューヨーク州の電力会社コン・エディソンとの試験的運用に乗り出す計画。電池製造に際しては、メーカーのインコデマ・グループ(Incodema Group)と協力している。同社の電池は、亜鉛と空気を使用する。
電気自動車向けの次世代リチウムイオン電池を開発するエンヴィア(Envia)は、今年の大きな躍進が期待されていたが、ゼネラル・モーターズ(GM)との契約が解消されたことから、減速する可能性はある。
また、研究開発面では、ハーバード大学の研究者がアクイオン・エネルギーと協力してフロー電池の画期的な技術を追求している。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
Z世代に訴求するサービスを各社が追求 ~ ゲーミフィケーションや双方向性がカギ
-
2023年3月23日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
AMラジオ非搭載のEVは危険~元FEMA局長らが警告
-
オレオレ詐欺、音声クローニングで巧妙化 ~ なりすましが見破りにくくなり被害が増える可能性
-
2023年3月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
パナソニック、米EV電池工場から多くを学ぶ
-
カーレント・サージカル、革新的ながん治療用「スマート」針を開発 ~ 非常に高い精度で腫瘍だけを熱焼灼
-
2023年3月9日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
NY市、EV普及の課題は充電器の設置
-
IT企業の人員削減、H1Bビザ労働者に大打撃
-
2023年3月2日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
チャットGPT、デジタル販促業務の自動化を促進か ~ 生成人工知能の業務応用、2023年に加速
-
全米小売連盟主催の見本市に見る3大技術動向 ~ 在庫管理合理化、店舗運営の生産性、キャッシャーレス会計
-
スマート家電「非接続派」を説得せよ