ソーラー・パネル取り付け事業は盛況 〜 機材の値下がりとリースの普及で

 ソーラー発電業界に対して、政府支援を受けながら倒産したソリンドラの例などから「業績不振」の印象を持ち続けている人は多い。しかし米国内最大市場のカリフォルニア州では、ソーラーシティうやサンジェヴィティ、サンパワー、サンランといった生き残り組が爆発的に業績を伸ばしている。

 サンフランシスコ・クロニクル紙によると、成長の背景には、ソリンドラ倒産の原因ともなった世界的なソーラー・セル(太陽電池の基幹部品)の値下がりがある。多くのメーカーが生き残りに苦労する一方、住宅や事業所、電力会社にソーラー発電の設計や設備取り付けを行う企業は売上高が大幅に増加している。

 市場調査NPDソーラービズによると、米国では住宅用ソーラー・システムの設置件数が過去5年間に年平均70%で拡大しており、2013年は国内のソーラー発電能力が設置容量で4.2ギガワット(GW)と原子炉4基分も増えた。

 5〜6年前まで、シリコン・バレーは太陽電池(パネル)やソーラー発電施設の新しい生産法を模索する新興企業であふれていたが、中国から安いシリコン型セルが大量に流入してパネル価格は2008年以降75%も下落し、多くの企業が損害を受けた。

 そのため、ナノソーラーやオプティソーラー、セネルジェン、ソルフォーカスは倒産や二束三文の身売りに追い込まれた。損失額も大きく、ソリンドラは11億ドルの民間投資、5億2800万ドルの政府保証ローンを無にした。

 一方で、ソーラー設備導入の融資や機器取り付けを行う企業は急成長を始めた。製品の値下がりと並行して、ソーラーシティやサンエジソン、サンランが住宅所有者や事業所にソーラー設備のリース販売または電力購入契約を提供し始めたことで、生き残り業者の成長が促進された。設備リースによって利用者はパネルを買わず電力だけを購入できるようになり、その手法が業界に革命をもたらした。

 カリフォルニア州政府は2010年前からソーラー発電の拡大に力を入れ、業界の拠点となることを目指してきた。電力会社には20年までに電力の33%を再生可能エネルギーから生産することを義務づけ、大型ソーラー発電所の建設を促進し、屋根にパネルを設置する住宅所有者には還付金も提供している。

 そういった政策が実を結び、2013年は業界6100社のうち1700社がカリフォルニアに本拠を構え、その多くが湾岸地域(サンフランシスコとその周辺)に集まっている。また、2012年の業界雇用11万9000人のうち、約4万3000人をカリフォルニアが占めた。

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