「ニトロが足りない」〜医療現場で供給不足が深刻に

 心臓発作の患者らに投与され、緊急治療では欠かせない点滴用ニトログリセリンの国内供給量が大幅に不足している。

 ニューヨーク・タイムズによると、米国では昨年、ホスピラとアメリカン・リージェントという2つのメーカーが工場の問題や生産遅れのために商品の販売を停止した。ところが唯一残ったバクスター・インターナショナル(イリノイ州)は需要に対応し切れず、今年1月以降は配給制で製品を供給している。

 病院への供給量は1月に通常の40%に制限され、3月には20%まで減っており、医療関係者の間では手持ちの在庫がなくなるのではないかという懸念が広がっている。バージニア州シャーロッツビルのバージニア大学医療センターの場合、通常は月に48〜50本の点滴用ニトログリセリンを使っているが、1月からは供給が月24本に減り、現在はわずか4本の在庫しかない。点滴は1本で18〜20時間しか持たず、なくなれば患者の治療が著しく制限される。

 バクスターは3月下旬、「生産を拡大しており、出荷は間もなく1月の水準に回復する」と発表。連邦食品医薬品局(FDA)も緊急措置として海外の供給源を探しており「近く不足は解消する」と話している。

 米国では近年、工場の老朽化で医薬品の生産ラインや施設全体が閉鎖される例が増えており、多くの薬品や医療用品の不足が起きている。今年2月に公表された政府監査院(GAO)の報告によると、年間供給量が不足した薬品の数は2007年から12年までに3倍に増えた。

 不足している薬の多くは、ニトログリセリンのような後発コピー薬(ジェネリック)の注射液で、少数のメーカーが生産していることが多い。がん治療用の無菌剤の場合、08年に国内市場の71%をわずか3社が供給していた。

 供給不足は、重要な抗がん剤からモルヒネといった一般的な鎮痛剤まで広がっているが、その多くは低価格で販売されており、生産を続けるだけの経済的魅力が薄れている。バクスターのニトログリセリンの卸価格は1本6ドル。

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