HP、サーバー周辺の高位製品アポロを発表 〜 スパコン分野でIBMに対抗
- 2014年6月10日
- ハイテク情報
ヒューレット・パッカード(HP=Hewlett-Packard)は、アポロ(Apollo)ブランドの二つのサーバー関連製品を開発した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2製品のうち「H-Pアポロ6000」は、最大160台の下位サーバーをつなげてラック1台にまとめることができるサーバー・システムで、既存システムを超える高性能電算能力を既存の半分程度の消費電力で実現する、とHPは説明している。
調査会社IDCによると、この種のシステムの価格は10万ドル未満から最大50万ドル程度になる見通し。
もう一方の「H-Pアポロ8000」は、世界初の完全液体冷却型スーパーコンピューター(スパコン)で、IBMやクレイ(Cray)のスパコンと競合するHP初の高位システムと位置付けられる。
アポロ8000の価格は、下位機種で50万ドル程度、高位機種だと数百万ドルに達する。
HPは、アポロ8000の消費電力が空冷システムより28%少ないと説明するとともに、省電力化が課題のデータ・センター向けに商機があるという考えを示した。
IDCによると、サーバー市場の売り上げは近年鈍化している。しかし、スパコンを含む高性能電算分野の伸び率は高く、2014〜2017年には年平均7%の成長が見込まれる。
世界の高性能電算市場規模は2013年に103億ドルに達した。HPは、出荷台数では市場占有率を2012年の31%から32.3%に伸ばし、世界首位に躍進した。IBMの占有率は同期に32%から27.7%に下がっている。
IDCの業界専門家は、高性能市場におけるHPの成長を予想する一方で、スパコン顧客はHPの従来の顧客とは異なると指摘。政府機関や大規模電算能力を必要とする大企業のスパコン顧客を対象に、HPは営業やサポート力を強化する必要があると分析する。
HPはそれら二つのアポロ製品の市場投入によって、電算機器販売を手掛けるエンタープライズ部門の増収を期待する。HPによると、同部門の直近四半期売上高は前年同期比2%減の67億ドルだった。
IBMは、メインフレーム製品を含む高位電算機器製品の強化を引き続き掲げる一方で、下位サーバー事業については中国レノボ・グループ(Lenovo Group)に総額23億ドルで売却することを1月に発表している。
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