酷評した客を訴えた企業、逆に賠償命じられる

 奇抜なギフトを扱うオンライン小売店クリアギア・コム(KlearGear.com)が、同社に関する否定的なリビュー(批評)を書いたユタ州の夫婦にサービス契約違反として罰金請求の訴えを起こしたところ、逆に30万ドルを超える損害賠償の支払いを命じられた。

 お買い得情報サイトDealNewsによると、2008年に夫がクリアギアで商品を購入した際、30日以上たっても品物が届かなかったことが問題の発端。妻はサイトに問い合わせようとしたが誰とも直接話ができなかったため、リビューサイトのリップオフリポート(RipoffReport)で「どうやっても担当者と接触できず、顧客サービスがひどい」などと酷評した。

 すると3年後、クリアギアから夫あてに「顧客に会社の批判を禁ずる条項が含まれたサービス規定に違反した」というeメールが届き、問題のリビューを削除するか3500ドルの罰金を払うよう求められた。

 罰金は一家のクレジットスコアにも影響を及ぼしたため、夫婦は市民団体パブリック・シチズンズの協力を得て、逆にクリアギアを訴えた。同社は訴えを無視し出廷もしなかったが、ユタの連邦地裁は今年5月、「同社は原告から罰金を徴収することはできない」との欠席判決を下し、さらに今月、クリアギアに30万6750ドルの賠償金支払いを命じた。

 サービス規定の中傷禁止条項は以前から議論の的になっているが、今回の裁判では、原告側が「08年時点ではサービス契約に中傷禁止条項はなかった」と主張したほか、パリを本拠にするクリアギアが出廷せず欠席裁判だったため、その合法性や言論の自由を侵害していないかどうかが明確になったわけではない。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校のユージン・ボロク教授(法学)によると、業者同士の契約やサービス規定には法的強制力があるが、中傷の禁止など消費者が予期しない落とし穴のような条項は履行を強要できないと見なされることがある。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る