酷評した客を訴えた企業、逆に賠償命じられる
- 2014年7月10日
- アメリカ発ニュース
奇抜なギフトを扱うオンライン小売店クリアギア・コム(KlearGear.com)が、同社に関する否定的なリビュー(批評)を書いたユタ州の夫婦にサービス契約違反として罰金請求の訴えを起こしたところ、逆に30万ドルを超える損害賠償の支払いを命じられた。
お買い得情報サイトDealNewsによると、2008年に夫がクリアギアで商品を購入した際、30日以上たっても品物が届かなかったことが問題の発端。妻はサイトに問い合わせようとしたが誰とも直接話ができなかったため、リビューサイトのリップオフリポート(RipoffReport)で「どうやっても担当者と接触できず、顧客サービスがひどい」などと酷評した。
すると3年後、クリアギアから夫あてに「顧客に会社の批判を禁ずる条項が含まれたサービス規定に違反した」というeメールが届き、問題のリビューを削除するか3500ドルの罰金を払うよう求められた。
罰金は一家のクレジットスコアにも影響を及ぼしたため、夫婦は市民団体パブリック・シチズンズの協力を得て、逆にクリアギアを訴えた。同社は訴えを無視し出廷もしなかったが、ユタの連邦地裁は今年5月、「同社は原告から罰金を徴収することはできない」との欠席判決を下し、さらに今月、クリアギアに30万6750ドルの賠償金支払いを命じた。
サービス規定の中傷禁止条項は以前から議論の的になっているが、今回の裁判では、原告側が「08年時点ではサービス契約に中傷禁止条項はなかった」と主張したほか、パリを本拠にするクリアギアが出廷せず欠席裁判だったため、その合法性や言論の自由を侵害していないかどうかが明確になったわけではない。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のユージン・ボロク教授(法学)によると、業者同士の契約やサービス規定には法的強制力があるが、中傷の禁止など消費者が予期しない落とし穴のような条項は履行を強要できないと見なされることがある。
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