燃料電池車、EV巻き返しへ〜水素補給網の構築が重要に

 無公害車の開発競争で、これまでは電気自動車(EV)の先行を許してきた水素燃料電池車(FCV)が、巻き返しに転じている。
 ロサンゼルス・タイムズによると、韓国の現代自動車は2014年に入り、南カリフォルニアでクロスオーバーFCV「トゥーソン」のリース販売を開始した。トヨタ自動車とホンダも15年、初の大衆市場向けFCVを投入する計画だ。
 カリフォルニア大デイビス校の専門家によると、普及のカギは都市部を地方を含めた燃料補給ネットワークの構築にある。ジョーン・オグデン教授(環境学)は、「水素自動車がEVよりわずか数年後れなのか、差が数十年に開くかは今後3、4年で判断できるだろう」と語った。
 同校の交通研究所(ITS)は、FCVが約5万台ある地域で1億〜2億ドルを投資して燃料補給所を100カ所作れば、1マイル当たりのコスト(CPM)がガソリン車と同等になると見積もっている。こうした投資は現在、少なくともカリフォルニア州、ドイツ、日本で実現の機運が高まっており、州は28カ所の補給所建設に4600万ドルを投じる計画だ。
 ITS報告書によると、FCVの開発促進の追い風になっている別の要因として、車両と補給所に必要な部品開発コストが低下したことが挙げられる。さらに、水素生産に必要な低コストの天然ガスが豊富に得られるようになったことも大きな要因だ。
 それでもFCVには、依然として経済的、社会的課題が山積しているという。オグデン氏は「技術的には問題ない。要は、いかにして投資家や燃料供給者、自動車メーカー、さらには消費者に水素の将来への確信を持ってもらうかだ」と指摘した。

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