アップル・ペイ、ついに始動 〜 小売業界、消費行動を刺激する可能性に期待

 アップル(Apple)のモバイル決済サービス「アップル・ペイ(Apple Pay)」が20日から始動した。専門家らは、多くの小売業者が同サービスに大きな期待を寄せていると指摘する。

 ビジネスウィークによると、アップル・ペイは従来のモバイル決済サービスをさらに簡便化し、利用者がアイフォーンを取り出すだけで商品購入の店頭決済を可能にしたと評価される。

 アップル・ペイは、クレジット・カードのようにカードを機器にスワイプさせて読み込ませる必要がなく、アイフォーンを読み取り機にかざすだけでよい。その結果、購買に対する消費者の心理的障壁をさらに低くすると期待される。

 経済行動学者らは、クレジット・カードによる購入について、消費者の意識を銀行口座から切り離すいわゆる「ディカプリング(decoupling)」(引き離すの意)を生じさせるため、クレジット・カードの使い過ぎ問題が起こると指摘する。

 カジノが現金のかわりに電子チップを利用し、スターバックスがプリペイド・システムを奨励する背景には、ディカプリングという消費者心理を刺激して消費を促すという狙いがある。

 そうしたなか、アップル・ペイは、クレジット・カードを財布から取り出して店員に渡しカードをスワイプして領収書に署名するという作業を省くため、ディカプリングをさらに増長させるとみられる。

 アップルは、「(支払い時に)スクリーンすら見る必要がない」と説明している。

 米国では、アップル・ペイが始まった20日時点で、百貨店大手ブルーミングデイルズ傘下の運動靴小売チェーン大手フット・ロッカーや、百貨店大手メイシーズ、マクドナルドを含む22万店舗がアップル・ペイに対応している。

 アップル・ペイを使うには、アイフォーン6またはアイフォーン6プラスにiOS 8.1をダウンロードしたあとに、パスブック(Passbook)を開いて「追加(Add)」ボタンをタップし、「クレジット / デビット・カード(Credit / Debit Card)」メニューを選び、カード番号と有効期限、セキュリティー・コードを入力する。キーボードで入力する代わりに内蔵カメラでカードをスキャンする方法も可能。

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