中国ベンチャー企業のドローン競争 〜 大手DJIに挑むエックスエアクラフト

 小型無人飛行機(ドローン)の市場が急成長しており、中国のドローン・メーカーたちが世界市場を支配しようと競争を激化させている。

 最近では、たとえば花火を上方から撮影した動画や、サーフィンの様子を上空から撮影した動画、火山噴火を火口上空から撮った動画のように、これまで撮影できなかった映像が可能となり、それらの動画が世界中で紹介されている。

 それらの動画は、カメラを搭載したドローンを飛ばすことで遠隔操作や自動操縦によって撮影されたもので、従来なら見ることのできない角度や様子を高画質でとらえた見応えのある映像を収録できるため、需要が急増している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国のドローン製造大手であるSZ DJIテクノロジー(SZ DJI Technology)は現在、世界ドローン市場を牛耳りつつある最有力メーカーだが、競合社の中国エックスエアクラフト(XAircraft)も市場開拓を狙っており、ドローン市場が中国メーカーの激戦区となりつつある。

 エックスエアクラフトのペン・ビン最高経営責任者(CEO、32歳)は、DJIのフランク・ワンCEOがドローンと航空写真を組み合わせることで世界市場を開拓した点について、DJIに大きく水を開けられたと悔やんでいる。

 航空動画撮影向けドローン市場に注力したものの航空写真向けについては発想がなかったと話すペン氏は、エックスエアクラフトの成長が鈍化した決定的要因がそこにある、と話す。

 しかし同氏は、今後のドローン市場が小包配達市場で再び急成長すると予想しており、次なる急成長機会ではDJIに負けない姿勢を強調する。

 「DJIがドローン市場全体を支配することは、同市場が大きすぎるため不可能だ」「DJIは航空写真用ドローン市場では大きな占有率を握っているが、次なる成長市場ではエックスエアクラフトが支配する」とペン氏は意気込みを語る。

 ペン氏と二人の共同創設者たちはその狙いを実現させるために、1000万元(約160万ドル)を投資して年間10万機を生産できるドローン工場を2015年に建設する計画を進めている。

 DJIは2014年初めに、航空写真撮影用の専用変速機をドローンに取り付けたことで、2013年の売上高1億3000万ドルを大きく上回るドローン販売高を記録している。それに対しエックスエアクラフトは2013年の売り上げが約1600万ドル〜3200万ドルのあいだにとどまっている。

 ペン氏は、配達機能を備えたドローンを年間1万〜2万機生産できれば、売り上げは激増し、利益率も20〜30%に上がると期待する。

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