ニューヨーク州、水圧破砕法を禁止 〜 健康リスクと限定的経済効果を理由に

 ニューヨーク州は、米国内の原油と天然ガスの増産を支えるシェール(けつ岩層)開発に不可欠な水圧破砕法(フラッキング)について、健康上のリスクがあることと、州への経済効果が限定的であることを理由に使用を禁止した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、これまで判断を先延ばしにしてきた同州は、シェール開発を5年以上にわたって差し止めてきたことから、新方針による直接の影響はない。

 州内1200万エイカーの地下には、ペンシルベニアやウェスト・バージニア、オハイオとつながる国内有数のシェール鉱区「マーセラス」が広がり、原油と天然ガスを内蔵する。

 国内ではシェール開発によって原油と天然ガスの生産が急増し、最近の世界的な原油安の一因となった。

 州厚生省のハワード・ザッカー長官代理は、徹底した審査の結果、フラッキング容認で生じるリスクが経済効果よりも重大という結論に達したと説明し、「偉大なニューヨーク州で大規模のフラッキングを支持することはできない。(フラッキング関連の)積み重なる懸念が禁止の理由だ」と述べた。

 ニューヨーク州は今回の方針決定によって、フラッキングを禁止する初めての州となった。今後、フラッキング禁止の動きが他州にも広がるかどうか注目されそうだ。

 一方、エネルギー業界や経済効果に期待していた一部の自治体は、同州の決定に反発している。

 ペンシルベニアと州境を接する州南西部(サザン・ティア)の自治体は、州経済が停滞し、仕事と金がよそに流れることを懸念して落胆を隠さない。

 同地方の酪農家ニール・ビターリ氏は、エネルギー企業に土地を貸し、農地700エイカーにかかる財産税の足しにしようと考えていたが、「掘削可能のシェール部分は地表よりずっと貴重」「うちの土地のもっとも大事な部分を州が支配している」と嘆いた。

 水圧破砕法は、化学物質や砂が混じった水に高い圧力をかけて硬い岩盤を破砕し、地下数千メートルから天然ガスや石油を抽出する技術。それによって、国内の原油およびガスの生産量は大幅に増加し、世界的な原油安につながっている。

 今年6月半ばに1バレル=107ドルだったNY原油価格は、16日に55ドル代まで下がった。天然ガス価格は2012年4月にNY先物市場で100万BTU=1.91ドルまで下落したものの回復し、現在は4.30ドル前後で推移している。

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