ソーラーと蓄電の併用モデル、今年が正念場 〜 普及に向けてコストが要因に
- 2015年1月19日
- 環境ビジネス
屋根上ソーラー・パネルと蓄電の併用モデルにとって、2015年は真の普及をかけた重要な年になるとみられる。
ギガOM誌によると、リチウムイオン電池の価格はかつてないほど低下している。電気自動車を製造するテスラは現在、パナソニック製の電池に対して1キロワット時あたり200ドル前後の価格を払っているが、ナヴィガント・リサーチによると、テスラの巨大電池工場が稼動する2020年までには1キロワット時あたり130ドルに下がる可能性がある。
数年前までリチウムイオン電池のコストは1キロワット時あたり1000ドル近かった。ソーラーシティーはテスラの電池をすでに提供している。
リチウムイオン電池は、他社の製品でも採用が進んでいる。ラスベガスで先週開かれていた消費者電子製品見本市(CES)では、新興企業のゴゴロ(Gogoro)が電動スクーターを披露するとともに、空になった電池の交換制度をパナソニックとの協力で導入すると発表した。電池残量がなくなると街中の交換設備で充電済み電池と交換できる仕組みだ。
ソーラー業界の蓄電導入を後押ししている要因は、リチウムイオン電池のコスト低下だけではない。ほかの方式の電池を手がけている企業も多数あり、送電網向けに最適化されたソリューションも開発されている。
アクイオン・エネルギー(Aquion Energy )は先週、ハワイで過去最大の2メガワット時という蓄電システムを設置すると発表した。
送電網の蓄電市場は、カリフォルニア州が野心的な蓄電目標を掲げたことで大規模に形成されつつある。サザン・カリフォルニア・エディソンは250メガワットの蓄電購入計画をすでに明らかにした。そのうち100メガワットはAESエネルギー・ストレージ、85メガワットはステムが提供する見通しだ。
ただ、ムーディーズの報告書によると、ソーラーと蓄電の組み合わせは現時点では公益会社を脅かすほどの価格帯にまだ達していない。
蓄電が1キロワット時あたり200ドルでソーラー・パネルが1ワットあたり3ドル50セントでは、「送電網の代わりとなるには高すぎる」と同報告書は説明している。ムーディーズによると、電池価格が1キロワット時あたり10〜30ドルになればコスト競争力が出てくるとみられる。
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