シェル、カナダのオイルサンド開発計画を棚上げ

 英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは、カナダのアルバータ州北部でのオイルサンド鉱区開発計画「ピエール・リバー」の実施を無期限に延期する。

 ロイター通信によると、ピエール・リバーでは日量20万バレル(bpd)の粗オイルサンド原油(ビチューメン)生産を予定していたが、原油価格の低迷を受け、政府に申請取り下げを求めている。同種のプロジェクト延期を延期する例では過去最大規模。

 今後は既存のオイルサンド事業(計25万5000bpd)の利益率改善に取り組む意向で、同社カナダ部門のロレイン・ミッチェルモア社長は「ピエール・リバー鉱区が長期的な成長機会であることに変わりはないが、現時点では優先しない。今は重油事業の経済効率と環境的競争力の改善に集中する」と説明している。

 シェルは今年1月、原油価格の低下を理由に採掘部門で300人の人員削減を発表したが、ピエール・リバー計画はまだ初期段階であるため、今回の延期による雇用への影響はほとんどない見通し。

 アルバータのオイルサンドは生産コストが高く、原油価格の低下で大きな打撃を受けている。カナダの同業セノバス・エナジー(Cenovus Energy、アルバータ州)は一部のオイルサンド計画に関連する支出を延期し、仏トタルやノルウェー・スタトイルも最近大きなプロジェクトを延期した。

 アルバータ州政府は、原油安が原因で今年の歳入は70億カナダドル減少すると予想しているが、「アルバータの石油生産は伸び続ける。多少の減速はあるかも知れないが、オイルサンドには抵抗力がある」(エネルギー局幹部)と見ている。

 ミッチェルモア社長も「シェルは同鉱区のリース権を保持しているため、将来再申請する可能性はある」と話している。シェルはアルバータ北部のオイルサンド鉱区「ジャックパイン」で生産を10万bpd拡張する許可を受けているが、この計画に関する投資の最終決定時期は未定。同社はこのほかオイルサンド鉱区開発計画「アサバスカ」の60%を所有、残りはシェブロンとマラソン・オイルが20%ずつ所有している。

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