加州の積雪量、例年の25%〜常態化すれば給水機能の調整必要に

 カリフォルニア州では今冬、山の積雪量が非常に少なく、今後はこうした状況がますます一般的になる可能性が高いと見られている。

 ロサンゼルス・タイムズによると、州水資源局は毎年シエラネバダ山脈の雪塊氷原にアルミ管を差し込んで雪の量を測定しているが、1月下旬時点で例年の同時期に比べ25%しかなかった。加州の雪塊氷原は、自然の広大な貯水池として機能している。しかし地球温暖化によって向こう数十年で雪の量が3分の1減り、今世紀末までには半分以上が消える可能性もあると見られている。

 最新の観測データによると、州の降水量にあまり変化はなく、多くの地域で増える可能性すらあると考えられるが、大部分は雨として降るため、山から流れる水が貯水池を満たす時期が変わり、州が水管理の調整を強いられる可能性がある。1月下旬に雪の量が少なかったのは同月の乾燥が一因だが、12月の悪天候が雪ではなく大量の雨を降らせたことも影響している。

 加州の雪塊氷原は、平均して最大で1500万エーカーフィートの水を含み、その量は州最大の貯水池であるシャスタ湖を3回以上満たせると言われる。山の雪は数カ月かかって徐々に解け、山を伝って川に流れ込み、ちょうど農業用、都市部の生活用水の需要が増す春や初夏に貯水池の水量が上がる。しかし雪の代わりに雨が降るとこの時間差がなくなり、何らかの対応が必要になる。

 昨年の12月は、3年続く深刻な干ばつで大きな貯水池が干上がっていたため大量の水を受け止められたが、通常は貯水池の水量はもっと多いため洪水対策としてダムの水門を開かなければならなくなる。

 スクリップス海洋研究所の気候学者ダン・ケイヤン氏によると、すでに温暖化で1950年代に比べて気温がカ氏1度上昇しているため、加州を含む西部では春の雪が5〜10%減っており、今後は既存システムが対応できる量を超える水が冬場に流れてくる可能性があるという。

 ダムの開閉は、水の供給と洪水対策の微妙な兼ね合いから、貯水池ごとに詳細に作られた基準に従って米陸軍工兵隊が管理しており、連邦法に規制されるため変更には連邦議会の承認が必要になる。

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