シャープ、米国で蓄電池事業に注力 〜 付加価値を強調し先行競合各社に対抗
- 2015年6月8日
- 環境ビジネス
シャープ・ラブズ・オブ・アメリカ(Sharp Labs of America)は、テキサス州ダラスで5月29日まで開催されたエネルギー・ストレージ協会の会議と展示会で蓄電事業戦略を明らかにした。
グリーンテック・メディアによると、シャープは福島原発事故の直後に、家庭用エネルギー管理ソフトウェアの開発に本格的に乗り出し、その開発がのちの蓄電事業に成長したいきさつを説明した。
同社のカール・マンスフィールド代表は2011年当時、蓄電池を制御するための製品を米国市場向けに開発することを考えていた。しかし、日本の住宅向けに開発されたソフトウェアがマンスフィールド氏の考えていた機能の多くを備えていたことから、それが米市場向け蓄電事業の基本となった。
シャープ・ラブズの担当者らは、そのソフトウェアを応用して商業用蓄電システム向けに改良し、また蓄電池についてはサムスンと提携し、パワー・エレクトロニクスについてはアイディール・パワー(Ideal Power)と提携した。
2012年には、太陽光発電業界で経験の長いカーク・ストークス氏を取締役として迎え入れ、新製品「スマートストレージ」の市場開拓を本格化した。
ストークス氏は、製品開発よりも、性能保証と運用サービスをともなった電池管理サービスを開発することのほうが難しかったと話す。「技術よりも信頼性が重要だと言い続けてきた」。
シャープはサンディエゴの商業施設で30キロワット、40キロワット時のシステムと、30キロワット、80キロワット時のシステムを試験したあと、2014年7月に蓄電製品を発表した。
ストークス氏は、スマートストレージが市場ではまだ珍しい三つの特徴を持っていると説明。サムスンによる信頼性の高い製品保証、10年間のメンテナンス契約、そしてシャープによる毎月の性能保証だ。
「10年間にわたってシャープが責任を持つ。これはむしろメンテナンス事業だ」とストークス氏は語る。
シャープは、グリーン・チャージ・ネットワークスやステムといった蓄電業界の主要企業と競う。それらの2社はこれまでに、リース契約にもとづくプロジェクト開発で合計1億7000万ドルの資金を集めた。
一方、シャープの顧客はすべて現金でシステムを購入しており、同社のシステムはこれまでにわずか6ヵ所の商業施設に導入されたのみだ。
ストークス氏は、提携企業を通じて300件以上の有望の潜在プロジェクトがあると説明している。「資金調達のオプションが整えば、動きが出始めるだろう」。リースを含む事業モデルのための資金繰り提携もまもなく発表できる、と同氏は述べた。
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