太陽光発電の運用を変える三つの動向 〜 メンテナンス業界にも変化もたらす
- 2015年6月1日
- 環境ビジネス
グリーンテック・メディア誌は、商業用太陽光発電システムの運用およびメンテナンス業界に変化をもたらすとみられる下記三つの業界動向をまとめた。
1.ストリング・インバーター
米国市場に最近登場した3相ストリング・インバーターは、メンテナンスのあり方を根本的に変化させる技術だ。
ストリング・インバーターは、そもそも修理の必要がなく、内部の部品が故障した場合は、ユニット全体を取り外して新しいものに取り替えることになる。故障部分を見極めるための診断も必要もない。故障したユニットは、メーカーに送られて交換される。
また、ストリング・インバーターが故障しても、発電能力に大きな影響をおよぼさないため、修理担当者を即座に送る必要がない。そのため、メンテナンス会社にとって都合の良いスケジュールで予定を立てることが可能だ。
ただ、ストリング・インバーターは、太陽光発電システム1基あたりの搭載数が多いため、故障も頻繁に起きる。そのため、場合によってはメンテナンス・コストを上昇させる可能性がある。
2.ITCの失効
連邦政府の投資税控除(ITC)制度は、太陽光発電システムの購入と同時に複数年にわたるメンテナンス契約を購入するインセンティブをもたらしている。
しかし、現在のITCが失効して控除率が下がれば、年払いまたは四半期払いの短期契約が増える可能性がある。
これまでは、設置業者や開発業者がメンテナンス契約を単体では損失の出る価格で販売することもあったが、ITCの変更によりそれもあまりなくなるとみられる。
3.カリフォルニア州の規則21号
カリフォルニア州の規制当局は、電力規則21号を変更して、太陽光発電システムに遠隔制御機能を搭載するなど、新たな義務付けを導入しようとしている。この新規則の第1段階は2016年第1四半期か第2四半期に導入される見通しだが、義務付けられる機能のほとんどは、インバーターによって自動的に実行される機能だ。
第2段階では、分散型エネルギー源すべてに対して、送電網との通信機能が義務付けられる。この段階では、分散型太陽発電システムに接続したオペレーション・センターを有するメンテナンス会社がアグリゲーターになる可能性がある。
第3段階の詳細は現在策定中だ。同規則による影響はなおも不明だが、太陽光発電システムの運用業務の複雑さや重要性を高めるとみられる。
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