テスラ(Tesla)は、販売するすべての車に搭載するソフトウェアを使って、デジタル地図情報の収集を開始する。
地図情報はこれまで、グーグル(Google)やアップル(Apple)が多大の投資をしてきた分野だ。グーグルとアップルの両社は、専用技術を開発して取り付けた数多くの地図作成用専用車を各地で走行させて道路情報を収集している。
クリーンテクニカ誌によると、テスラの発想は、その種の専用車をあちこちで走らせるのではなく、市販のテスラ車を使って情報を収集し、無線接続を介してクラウド上に地図データを集めるというものだ。
同機能を搭載した車載ソフトウェアが、テスラのセダン車「モデルS」に先週からダウンロードされ始めている。同ソフトウェアは、今後製造されるテスラ車すべてに搭載される。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、それを「車両学習ネットワーク」と呼んでいる。同氏によると、すべてのテスラ車が共有データベースに情報を提供し、「1台が何かを学習すれば、すべての車が学習する」。
デジタル地図情報のクラウドソーシング(crowdsourcing)といえる画期的仕組みだ。
たとえば、カリフォルニア州を縦貫する州間高速道路405号線のある部分では、車線表示があまり明確でないが、その部分を走ったことのあるモデルSから提供されたGPS情報を使えば、車線が薄れていたとしてもテスラの「オートパイロット(自動走行)」機能でうまく対応できる、とマスク氏は話す。
そういった地図情報は、自動運転技術が発展するにつれて他社との重要な差別化点になる、とマスク氏は考えている。自動運転はグーグルとアップルが開発を積極的に進めている技術だ。最近では、ダイムラーが自動運転技術の最大手になる可能性も指摘される。
自動運転技術と密接に関わる道路データは昨今、技術業界と自動車業界の戦場と化している。2015年に入って、ウーバー(Uber)がノキア(Nokia)のデジタル地図資産「ノキア・ヒア!(Nokia Here!)」を買収しようとしたことろ、アウディとBMW、メルセデスが主導した企業連盟に競り負けたことがあった。
ノキアの地図も従来型の情報であることから、それらの自動車メーカーが開発するであろう自動運転技術に対しても、テスラの地図資産は差別化できる可能性がある。
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