熱エネルギー貯蔵システムを開発するアイス・エネルギー(Ice Energy)は、ソーラー・パネルと連動する製品を投入した。
グリーンテック・メディアによると、アイス・エネルギーのエネルギー貯蔵システムは、おもに商業建物で使用される屋上設置型の空調システムと連動する。同社は数年前から、ソーラー・パネルと連動させるという概念を模索してきた。今回の製品は、それを商用化した第1号となる。
同社の基幹商品「アイス・ベアー(Ice Bear)」は、電気代が安く、かつ発電効率が高くなる夜間に冷水を生成することで熱を貯蔵し、日中の空調需要が高まる時間帯にそのエネルギーを使用する。カリフォルニア州だけですでに約1000台を設置しており、毎日各10キロワット前後の蓄電容量を提供している。
この種の熱貯蔵システムは、過去何十年にもわたって地区内エネルギー・システムの一部として使われてきたが、アイス・エネルギーは、それを小型化して屋上に設置できるようにした。
空調の需要は通常、ソーラー・パネルの発電量がピークに達する時間帯よりも少し遅れてピークが来る。そのため新製品では、ソーラー・パネルと空調の二つを連動させることで、その運用効率を高める。
新システムは、需要電力料金の管理だけでなく、「ソーラー+蓄電」のシステムにもとづく長期電力購入契約にも対応できる。おもにカリフォルニア州での販売展開を目指しており、NRGが初期導入パートナーの1社となった。
今後、NRGがアイス・エネルギーの事業展開においてどのような役割を果たすかは注目されるところだ。2社はすでに、サザン・カリフォルニア・エディソンの26.5メガワットの蓄電プロジェクトで提携している。同プロジェクトでは2016年以降、アイス・エネルギーが約1800台のアイス・ベアーを納入する。
製造や用地取得、設置、運用管理はアイス・エネルギーが手がけ、NRGは資本コストを100%負担するほか、用地取得と販促に介入する予定だ。
熱エネルギー貯蔵は、用途が空調に限られるという点で、電池を使った蓄電システムほど柔軟性がない。太陽光発電の増減に合わせて建物に電力を提供するといったことも不可能だ。
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