過去20年近くにわたるオンライン小売業の安定的好調成長を受けて、世界中の配送センターにおける物流管理効率化の需要が継続的に強まったたため、バーコード読み取り技術が大きく進化している。
小売大手はこれまで、巨大な倉庫や配送センターで在庫を管理する際に、頻繁に出入りする大量の商品のバーコードをスキャナーで読み取ってきた。倉庫作業員らは、商品の保管場所特定や梱包、出荷の過程において1日に何千回もスキャナーを使う。
一般的なスキャナーは、非常に重くて大きな拳銃のような形状で、上部に重心があるため不安定かつ使いづらい設計になっており、腕にかかる負担も大きいという課題をかかえている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バーコード・スキャナー製造最大手ズィーブラ・テクノロジーズ(Zebra Technologies、イリノイ州)はそういった課題を解消すべく、ズィーブラTC8000(2895ドルから)という新型スキャナーを開発している。
同製品は、太めのハンドルの先に利用者側方向の指触操作画面と荷物側方向のカメラが内蔵されており、指先だけで操作でき、バーコードの読み取り時間の短縮と腕や手への負担削減を図った設計になっている。
スキャナーの重心はハンドルにあり、スキャンしながら画面を見ることもできるため間違いを防げる。
社員が7.5時間の就業時間中に3000回もスキャンするという独DHLの物流サービス部門エクセル・ロジスティクス(Exel Logistics、オハイオ州)では、ズィーブラの新型スキャナーを3ヵ月にわたって試験導入した結果、作業効率が10~20%高まったと報告している。
一方、家庭用品ブランドをニュージャージー州の倉庫から消費者に直接出荷するライフタイム・ブランズ(Lifetime Brands、ニューヨーク州)では、両手をつねに使えるようにした指輪型スキャナーを約1年前から使っている。手首に装着する本体と合わせた価格は1台6500ドルと高額だが、商品取り扱いの速度が40%も高まった、と同社は話す。
市場調査会社VDCリサーチによると、配送センターや倉庫で使われる可動式スキャナーの世界売上高は2015年に約8億5000万ドルに達し、2013年から33%増加した。VDCリサーチは、「イーコマースの爆発的拡大が、データ処理装置への投資の必要性を高めている」と指摘する。
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