アメリカの首都、ワシントンDC。昨今の政治不信の高まりで、機能しない議会と頑固なロビイストのイメージがしみついてしまったが、本当は威厳があって美しい街だ。
それを殊更に感じるのが、春、桜の季節である。ポトマック川の河畔では、日本から贈られた数千本の吉野桜が満開になる。白とピンクの花房は、首都に華やぎとやわらかさを添え、荘厳なモニュメントを一層引き立てる。
2013年3月20日に開幕する「全米桜祭り」(National Cherry Blossom Festival)に合わせて、DCの見どころと観桜のポイントを紹介する。(*注:情報は掲載誌発行時点のものです)
古来から日本人は、桜に胸のざわめきや命のはかなさを感じ取り、人生の咲き方、散り方を桜に重ねて暮らしてきた。
アメリカ随一の桜の名所・ワシントンDCは、若い国らしく自分たちの歩みと前進を後世に伝えようという誇りにあふれ、無数の傷跡と犠牲、道半ばで断たれた希望や苦悩も刻み込む街だ。巨大な記念塔や慰霊碑の数々を、桜が囲み見守ってきた。
DCには年間1800万人近い観光客が訪れるが、気温がぬるむ3~4月にかけては散策に一番いい季節だ。住民も早朝から深夜まで「花見」を楽しみ、お気に入りの場所から桜をアクセントにして写真を撮るのに忙しい。
歩いて回りやすい街なので、地下鉄(メトロ)やトロリーバスを組み合わせれば見どころは2~3日で制覇できる。
観桜ウォークを楽しむには、ダウンタウンのユニオン・ステーションから歩き出すのがいい。
駅前に建つコロンブスの像を背に、キャピトル(議事堂)へ向かう。真っ白なドームのてっぺんにブロンズの自由の女神像(Statue of Freedom)が輝く。
DCではしばらくの間、この像より高い建物をつくることは禁じられていたそうだ。「自由に勝るものはないから」という理由で。
正面近くで見上げるだけでなく、DCの街の様々な場所から異なる角度で眺め、別のモニュメントと「遠近セット」にして望むと味わいが増す。
キャピトルの西側バルコニーでは4年に1度、大統領の就任式が行われる。
ドームを背にして右手を上げ、宣誓する大統領。その姿を見るために凍える寒さの中、何十万人もの市民が2マイル先のリンカーン・メモリアルまでを埋め尽くし星条旗を振る様はなかなか感動的だ。
大統領は宣誓を終えると、キャピトルとホワイトハウス(大統領官邸)を結ぶペンシルベニア・アベニューをパレードする。
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