キャピトルを過ぎてナショナル・モールへ向かう途中に、第2次大戦における日系アメリカ人の愛国心と活躍をたたえるメモリアルがある。
小さな石庭と池、鶴を配したメモリアルには、戦死した日系人と10カ所の強制収容所の名前に加えて、ノーマン・ミネタ元運輸長官や故ダニエル・イノウエ上院議員らの言葉が刻まれている。
多大な犠牲を払って勝ち取った自由と平等を慈しみつつも、権力を監視し、歴史を忘れるなと言わんばかりにキャピトルの足元にたたずむ。
ボタニック・ガーデンを抜けてモールに入ると、国立スミソニアン博物館だ。全米一の入場者数を誇る航空宇宙博物館や、アメリカ歴史博物館、自然史博物館、近代美術館などが建ち並ぶ。
すべて入場無料というのが素晴らしい。初めてアメリカに来たとき、一日中モールを歩き回って美術館と博物館に入り浸り、なんて豊かな国なんだろうと感じたことを思い出す。
知識や芸術へのアクセスは誰にでも平等に与えられなければならない。スミソニアンにはいつ行っても、全米から引率されて課外授業や修学旅行に来ている子供たちの姿がある。
モール中ほどにそびえるオベリスクは、初代大統領ジョージ・ワシントンのモニュメントだ。足元を星条旗が取り囲み、ジェット機や空軍機が塔の上をすれすれに飛んでいく。
建設途中で資金が足りなくなり工事を中断。再開した時には石の色が変わってしまっていたという逸話があり、150フィート付近に目をこらすと微妙ながら色の違いが見える。以前は最上階まで上がってDCを見晴らすことができたが、一昨年の地震でヒビが入り、今は閉鎖されている。
南へ向かうと、いよいよタイダル・ベイスン(Tidal Basin)だ。
ポトマック川を引き込むような丸い形のマリーナで、約2マイルに渡って桜並木が続く。その数およそ3000本。
大半が1912年に日本から贈られた吉野桜で、日米友好のしるしとして根を張ってきた。ところどころに橋がかかり、ベンチもあって、ジョギングや犬の散歩にいそしむ市民の憩いの場になっている。
桜に沿って歩くと、独立宣言を起草した第3代大統領トーマス・ジェファーソンのメモリアルにたどり着く。ロマンチックな白い堂に、綿飴のようにふわふわとした薄桃色の桜の花びらがかぶさって、写真好きにはたまらない場所である。
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