第71回 犬のグループ(その8)
文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)
- 2014年8月5日
8回に渡りお届けしてきた「犬のグループ」の紹介記事、シリーズを締めくくる今回はノンスポーティング・グループです。ダルメシアン、チャウチャウ、ボストン・テリア、プードルと言った犬種が集まるグループですが、ドッグショーでこのノンスポーティング・グループの犬たちが登場した際、あまりにも容姿様々な犬種が揃うので「一体このグループの共通点はなんだろう?」と思ってしまいます。というのも、実は共通点は「犬であること」だけといっても過言ではなく、AKC*のグループ分けで他のどのグループにも属さない犬種たちを寄り集めて作られたのがこのノンスポーティング・グループというわけです。
多種多様
基本的にはウォーキング・グループでもスポーティング・グループでもない犬種が属するのがこのグループ。性質や用途が多様なら、犬たちの形態とサイズも色々です。小型では、ビション・フリーゼ、ラサ・アプソ、ミニチュア・プードルなど、中型では、柴犬、シャーペイ、ブルドッグ、アメリカン・エスキモー、キースホンドなど、そしてダルメシアン、チャウチャウなどの大型犬たちもこのグループに属しています。
多種多様なノンスポーティング・グループの特徴を一括してまとめられないので、ここではこのグループの中から数犬種の特徴をお話します。

ダルメシアンは産まれた時はみんな真っ白。生後3週間程度でスポットが現れる。
Photo © Maho Teraguchi
陽気で活発、まるでぬいぐるみのような愛らしい容姿と毛並みを持つこの犬種は、愛情深く、芸などの飲み込みも早い。サイズが小ぶりで、犬にアレルギーがある人でも平気なことが多い点からも愛玩犬として大人気。大変飼いやすい犬種だが、吠え癖があるのでその点はきちんとしつける必要あり。
アメリカのボストンで生まれた犬種。ブルドッグとテリアの血を引くこの犬種は小型ながら筋肉質で頑丈。やんちゃで遊び好きな性質をもちながらも、非常に繊細な面があり飼い主の気分にとても敏感。少し頑固な面もあるが、学習能力は優れている。素早い動作と大きな目がチャーミングなこの犬種は家庭犬として今や大人気。
コンパクトで、ずんぐり正方形な胴体を持つこの犬種は、ベルギー産で、かつては番犬かつ害獣駆除犬として大活躍。独立心旺盛ながらも大変活発で元気一杯。愛想がよく楽しい家庭のペットになるが、知らない人・犬には警戒心を見せる一面も。
名前の通りチベット原産のこの犬種はチベットの仏教信仰と密接な関係を持つ。獅子が重要なシンボルである仏教において獅子のような姿をしたこの犬種は特別に尊ばれてきた。飼い主に大変忠実で、伴侶犬かつ番犬の役目も十分こなすことができる。
アメリカでは「消防署のマスコット犬」として有名なダルメシアン。かつては馬車の伴走犬として上手に馬と足並みを合わせて伴走するので重宝されていた。たくましい骨格を持ち、筋肉質のこの犬種は並外れた耐久力を持つ。今では家庭のペットとして大変人気だが、ペットにする場合は毎日の運動を活力的に。聴力障害をもって産まれてくることがあるのでその際には特別な訓練・しつけが必要。
次回は、また犬とのコミュニケーションの話題に戻り、「言葉とトーン」について詳しくお話します。お楽しみに!
*AKC(アメリカン・ケネル・クラブの略)
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