第110回 犬とホリデーシーズン

文/寺口麻穂(Text by Maho Teraguchi)

町中がキラキラときれいなイルミネーションで飾られ、気持ちも躍る季節になりましたね。この時期は、きっと多くのお家でパーティが行われることでしょう。最近は、愛犬も家族の一員として、または主役と化して、パーティに同席するのが当たり前になってきました。今回は「犬とホリデーシーズン」と題し、何かとイベントが続くこの時期に怪我・事故のない楽しい時間を過ごすために、飼い主として気を付けておきたい点のお話です。

痛っ!

実は、そういう私も、この夏自宅で行ったBBQパーティの際に、大怪我をしてしまいました。パーティのことで気もそぞろになっている私を愛犬ノアが不意に引っ張り、顔面から転倒するはめに。足も捻挫し、大変な思いをしました。「浮き立つ」という言葉が物語るように、特別なことがあると、飼い主の気持ちがそぞろになってしまい、普段はきちんと出来ている愛犬の監督もおろそかになりがちです。そうすると、計算外のことが起こってしまう時も。そして、せっかくの楽しい時間にも水を差してしまい、良いところなしという結果に……。

お客さんが気を利かせて愛犬の散歩などを買って出るかもしれませんが、自分の犬が一番分かるのは飼い主です。やめた方が良いと思えばはっきり断る。お客さんでも、変な気を遣わずに、正直に対応すると余計な事故やケガを防げます。また、パーティ中に、愛犬が賑やかな場所から隠れることの出来るスペースと時間を提供してあげることも忘れないで。声を出して気持ちの説明が出来ない犬を守ってあげられるのは飼い主です。特別なイベントの際でも愛犬のことを一番に考えてあげましょう。

今日は特別?

特別な時だからと、犬が人間の食べ物をたくさん頂戴することになるのも、このホリデーシーズンです。しかし、それは犬にとって、健康にもしつけにも良くないこと。人間には美味しいものでも、犬には毒になる食べ物も色々あります(*)。また、色んな人から次から次へとトリートなどをもらい、食べ過ぎでお腹をこわす可能性もあるので、食べる量も気を付けてあげましょう。少々の甘やかしは良いにしても、普段絶対にさせないことを「今日は特別」とさせてしまうと、犬を混乱させることになるので、普段だめなものは特別な日でもだめ。それが本当の意味で愛犬のためになっていることを忘れないように。

ギフトに犬!?

クリスマスに犬をプレゼントにすることについては、賛否両論あるでしょう。私は基本的には賛成派です。それというのも、贈り物はそれだけひとしおの心入れになるので、一生大切にするという気持ちを育む意味ではいいアイデア。しかし、サプライズギフトにするのだけは絶対に避けましょう。命ある犬は、店やオンラインショップで買って、気に入らなかったら返品出来る商品とは違います。犬に返品はありません。ギフトで贈ると決めたら、準備の段階から一緒に楽しむ贈り物にすればいいと思います。

今年のホリデーシーズン、愛犬にも可愛くおめかしさせて、お家でゲストいっぱいのパーティで盛り上がるのもよし。それとも、賑やかなイベントを避け、愛犬と車で遠出のホリデー旅行もよし。怪我や事故のない楽しい時間をお過ごしください。Happy Holidays!

次回は、「おしっこ・うんち」と題し、犬の排泄物の裏に隠されている意味についてのお話です。お楽しみに!

(*)犬が食べてはいけないものリスト:https://www.aspca.org/pet-care/animal-poison-control/people-foods-avoid-feeding-your-pets

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

ライタープロフィール

在米29年。かつては人間の専門家を目指しサンホセ州立大学・大学院で文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人では「Doggie Project」というビジネスを設立。「人間に100%生活を依存している犬を幸せにすることが人間の責任」を全うするため、犬の飼い主教育やトレーニング、問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し活躍中。

プライベート/グループレッスン、講習会のお問い合わせは:www.doggieproject.com
ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  2. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  3. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  4. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  5. 私たちは習慣や文化の違いから思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、当事務所も多種多様なお...
  6. カナダの大西洋側、ニューファンドランド島の北端に位置するランス·オー·メドー国定史跡は、ヴァイキン...
  7. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  8. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
ページ上部へ戻る