シリーズアメリカ再発見㊶
ハワイ島 マウナラニの息吹

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

王様が集う場所

古代ハワイの養魚池 Photo © Mirei Sato

古代ハワイの養魚池
Photo © Mirei Sato

活火山がうごめき、黒い溶岩が大地を這う。ハワイ島(ビッグ・アイランド)は、生きている。ハワイを形成する6つの島の中で、一番年齢が「若い」。まだ、たったの70万歳。島には、命が、息吹が、みなぎっている。
ハワイ島には、世界に存在する13種類の気候のうち11種類が存在する。海岸線に沿ってぐるっと車で走ると、ノンストップで6時間もあれば1周できる。
多様な気候のせいで、海岸の砂浜の色も、砂の形状も、はえている植物も違う。赤土、黒岩、緑砂・・・。
標高4205メートルのマウナケアは、ハワイで唯一、積雪がある場所。青い海と白い冠雪を抱いた山とが一望できるのは、ハワイ島ならではだ。
抜けるような青空と緑の草原があれば、漆黒の溶岩大地もある。活火山が吐き出す吐息のせいで、空にはもやがかかりやすい。ハワイ州第2の都市であるヒロの街周辺は、雨も多い。
常夏のハワイ、という単純なイメージで来ると、違和感をおぼえるだろう。
そんな中で、ハワイ島の北西部、コハラ・コーストは、乾燥していて雨が少ない。どちらかといえば砂漠のような気候。天候が安定していて、穏やかだ。
このあたりに先住民が定住し始めたのは、800年前頃だという。乾燥して、溶岩だらけ、なにかを栽培するには不適格な土地だったが、彼らを惹きつけるものがあった。
海からすぐのところから湧き出る、水だ。これに海水が混じり合うと、栄養たっぷりの「海の畑」ができあがる。エビ、カニ、ボラ・・・。多様な魚が集まってくる。
古代ハワイの人たちは、波打ち際に木の柵を立てて、天然の「養魚池」をつくった。波が押し寄せるたび、柵の隙間をぬって、小さな魚が海からはいってくる。それを池の中で育てる。成長して大きくなった魚は、柵からは抜けられない。「食べごろ」になるまで待って、それを捕えて、王様に献上したのである。
穏やかな気候と、豊富な海の恵み。加えて、コハラ・コーストは、ハワイ島を代表する5つの山の「おへそ」に位置する。「気」がいい場所として、ハワイの王族が保養に訪れるようになった。
1810年にハワイを統一したカメハメハ1世は、好んで、ここに滞在した。養魚池を守るのは、島民の大切な仕事。池から魚を釣り上げて、いち早く、生きたまま新鮮なうちに王様に献上するために、足の速さを競うレースまであったそうだ。

1

2 3 4 5

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

関連記事

資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 文/カロリーナ A. フォーノス、マーク R. ヘレラー、マリア T. ガレノ、アダム マルク 有...
  2. 注)情報はすべて2020年11月15日現在のものです。最新情報は専門家にお問い合わせください。 ...
  3. 「栄養バランスの取れたおいしい和食を家庭で簡単に」。ニューヨークに4店舗を構える日本の弁当専...
  4. 2020年9月末、ニナは大学に入学する。彼女が進学先として選んだのはカリフォルニア大学(UC...
  5. 2020年10月2日

    豊かな日々を生きる
    「Live rich life」。ピート・ハミルの言葉である。2020年8月5日、彼は85歳...
  6. ケンタッキー州の西部に位置するマンモス・ケーブ国立公園は、複雑に絡み合った小道と大小さまざま...
  7. あなたの食生活は大丈夫? 「体が資本」という言葉がある通り、日々の食事は体の土台を作るための大...
  8. ステンレス製のお皿にライスが隠れるようにルーを全体にかけ、その上にトンカツ、そして付け合わせにはキャ...
ページ上部へ戻る