シリーズ世界へ! YOLO⑱
自転車で回る台湾~後編

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

台湾を、自転車で回ってみませんか?──ビックリするような素敵な誘いを受けて、旅に出た。お金をかけず、誰でも使えて、環境にやさしい、庶民の乗り物。人口が密集する都会で、のんびりした農村で、波が打ちつける海岸で…。食べることに負けないぐらい、自転車が好き! 明るく優しい台湾の人たちに出会った。

時代がかったコスプレで参加した集団 Photo © Mirei Sato

時代がかったコスプレで参加した集団
Photo © Mirei Sato

日月潭 / にちげつたん / Sun Moon Lake

 今回の旅のメーンイベントの日がやってきた。台湾で一番大きい湖、日月潭で開かれる「台湾サイクリング・フェスティバル」に参加するのだ。
 毎年秋に開かれる人気のイベントで、3000人以上が出走する。西側の湖畔をスタートし、時計回りに全長30キロのコースができている。
 これはさすがに、台東の田んぼ道のサイクリングとは違うだろう。坂道を必死でツーリング軍団を追いかけなければならないのかも。そう覚悟して、膝あてもしっかり着用して会場に行ってみたのだけれど…。ここでもまた、そんな重装備がかえって浮いてしまったぐらい、肩の力が抜けた、陽気なイベントだった。
 もちろん、ぴったりウェアにヘルメットをかぶった本格的なサイクリストたちもいたが、ママチャリの人も負けないぐらいいる。三輪車を卒業したばかりなのか、両親に首根っこをつかまれるような状態で、こわごわ自転車にまたがっている女の子もいた。フェスティバルを盛り上げるためだろう、レトロなコスプレで参加しているグループもある。
 格好も様々なら、参加理由も様々で、共通しているのは、自転車を自分のペースで楽しもう、ということ。コースも、ほとんどが平たんで、初心者向けだった。誰もタイムなど計っている様子もない。どこで折り返してもいい。
 桟橋の上など、景勝スポットでは、ちょっとしたセルフィー渋滞が起きている。こいでいる時間より、自転車をとめて写真を撮っている時間の方が長いのでは、と思うようなグループもいた。
 あいにく小雨まじりの天気だったが、こうして大勢の人たちと一緒に自転車に乗るのは楽しいものだ。
 発着地点となる会場で日本語が聞こえた。四国の愛媛と広島を結ぶ「瀬戸内しまなみ街道」の代表団がステージで紹介されていた。小さな島々を結んで海峡にかかる橋の上にサイクリングコースができていて、ちょうど1年前に、日月潭のサイクリングコースと姉妹提携を結んだそうだ。広島や愛媛のロゴ入りシャツを着た人たちが、観光案内のパンフレットなども配っていた。
 ロサンゼルスから来た私たち5人のグループにいる、サイクリング好きのカップルも、ロサンゼルス・リバーの自転車のイベントに参加して、そこに出ていた台湾の観光局のブースで日月潭のコースについて知り、それが今回の旅に参加するきっかけになったという。台東・池上でも感じたことだが、人と場所をつなぎ観光マネーも生み出すのだから、自転車パワーは、あなどれない。

◆  ◆  

 それにしても、日月潭とは、きれいな名前の湖だ。一度聞いたら忘れない。湖の北側が太陽の形、南側が月の形をしているから付いた名前だという。
 四季折々、時間帯によっても湖水の色が変わる。台湾の初代総統・蒋介石が、熟考するときに好んで訪れた場所だそうだ。
 カラフルなボートに乗って、孫悟空が活躍する「西遊記」でおなじみの三蔵法師がまつられている玄奘寺へ行ってみた。高台にあるので湖を見渡せる。「日月潭」の石碑の前は、中国大陸からの団体客でいっぱい。記念写真を撮ろうと押し合いへし合いしている。
 ツアーガイドさんによると、中国で台湾の観光地といえば日月潭が一番有名らしく、ツアー客の熱はただものではない。図々しい私でも入り込む余地がなく、ポーズ写真は諦めた。
 


 

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