アメリカ エネルギーロードを往く
テキサス編

文&写真/水島伸敏(Text and photos by Nobutoshi Mizushima)

Photo © Nobutoshi Mizushima

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オイルフィールドへ

地元のドリルカンパニーを訪ねてみた。日本にも地熱発電の掘削で2度行ったことがあるというスティーブさんが色々と教えてくれた。15秒おきに変動し続ける取引額を見ながら、今日は良いと嬉しそうに言う。彼の話によれば、水平掘削もシェール層への掘削もテキサスでは80年代から行われていて、ここ、ミッドランドでも90年代初頭にはもう始まっていたというから驚いた。では何故、2010年前後からシェール革命などと、あたかも最近見つかったかのように騒がれるようになったのだろうか。スティーブさんは、オイルビジネスは政界と経済界が全てをコントロールしているとだけ答えてくれた。つまり、その時の金融、経済や戦争などの世界情勢によって事が決まるということだ。
ここ2、3年は少し落ち着いたが、2000年以降からこの街の住宅や食品など全ての物価が跳ね上がったという。この街にはアメリカはもちろん、カナダやメキシコからも労働者がたくさん来るからだ。24時間体勢の2勤制、4人1組で働く。彼らは、2週間働いては、2週間休む。そういった行程でオイルフィールドでの過酷な仕事は行われている。現場のトレーラーで住み込み、家族を街に住ましている人や2週間おきに家に戻る人もいる。
オイルパイプの修理をしている現場で会ったメキシコ出身のガンビーノさん、パイプの蛇口をひねって、採れたばかりの水混じりの原油を見せてくれた。この原油は近くの工場でガソリンにして、地下のパイプラインでヒューストンまで送られているという。彼の収入を聞いてビックリした。聞くつもりはなかったが、誇らしげに自分から教えてくれたのだ。私の年収の10倍近くもあった。そりゃモーテル暮らしでも、12時間労働でも皆喜んでするはずだと思った。

■  ■  

 ミッドランド周辺のいくつかの小さな街に寄った。だいたいは石油関連の工場が街の半分を占めているといったような感じで、街自体がその為にできたのだろう。そして、やはりどこでも車を降りてすぐに鼻を覆いたくなるほど強烈な原油の臭いがしてくる。
大きなプラントの写真を撮っている時に、近くの石油関連会社で働く男性が、「写真を撮っていると注意されるかもしれないから気をつけな」と優しく教えてくれた。なんでも9・11以降はこうした大きなプラントはテロや事故を警戒しているのだという。もし、何かあれば、大きな被害がでるような施設の警戒は厳しいのだという。
オイル関係の事故といえば、「メキシコ湾原油流出事故」が嫌でも思い出される。毎日、海中に延々と流れ出る原油のあの映像には衝撃を通り越し、誰もが心を痛まされ続けたことだろう。取材で現地を訪れたときには、こういった人為的事故が自然環境や地元の人たちの生活を一変させてしまうことを思い知らされた。
向かいのハードウェアストアーのおばさんが、この大きな工場はオイルをガソリンに精製する工場だと教えてくれた。それにしても臭いがすごいねと思わず口にしてしまったら、おばさんは苦笑いしていた。少し嫌な思いをさせてしまったかもしれないと思った。実際、こういった場所があるから私達はガソリンを使えるのだから感謝はしているのだが、本音を言えば、街全体がガソリンスタンドのような臭いに包まれているのだから、子供や大人でも身体に悪影響があるのだろうと思ってしまう。

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