やっかいな犬の飼い主によく出くわします。自分の犬の糞の後始末をせず、平気な顔でその場を立ち去る飼い主はその一例。前にお話した愛犬の異常吠えを何もせず、放ったらかしにして近所に迷惑をかけている飼い主も一例。しかし、個人的にもっと迷惑でやっかいだと思うのは、散歩時にリーシを使わない飼い主です。今回は、リーシ嫌いな犬ではなく、リーシ嫌いな人間についてお話します。
法律違反
私が今までに住んできた町にはかならず「Leash Laws」がありました。Leash Lawsとは、犬の飼い主に対して、自分の犬を常にコントロールできる状態にすることを義務づけた法律です。具体的には、散歩に出かけたり、公共の場や犬の出入りが認められている私有地に入ったりする場合は、6フィート以内のリーシを用いて、自分の犬の行動を抑制しなければならないという飼い主の責任です。要するに、犬の飼い主に自分の犬も周りも守りなさいというものです。
犬好きが陥りがちな悪い癖は、世の中の人間全てが犬好きと思いこんでしまうこと。しかし、世の中には犬が嫌い、怖いと思う人もたくさんいます。また、同類の犬が苦手な犬も多くいるのです。リーシなしの犬に突然近寄ってこられたら、たとえそれがフレンドリーな行為だったとしても、受ける側がパニックになることも多いです。それが少々攻撃的だとしたら、犬同士の場合けんかにつながることも。リーシをしていれば引き離せても、オフの場合は引き離すのが大変困難です。また、オフの犬がジョギングやサイクリングしている人を追いかけている光景を見ることがありますが、追いかけられた方はたまったものではありません。
愛犬を守れるのは飼い主
愛犬は何が何でも自分が守るという信念を持つ私にとって、愛犬をリーシなしで外に出したり、散歩したりする飼い主の気持ちはどうしても理解できません。近所に、玄関の戸を開けて飼い犬2匹をリーシなしで放ち、自分はパジャマ姿のまま戸口で待っている人がいます。犬たちは戸が開いた途端、クモの子を散らすように去って行きます。糞の始末は誰がしているのでしょうか? 誘拐されたり、交通事故にあったりという心配が頭をよぎらないのかと不思議です。知り合いが、リーシなしにしていた愛犬が目の前で車に轢かれ即死したことを「馬鹿な犬」と言っていました。罪の意識を隠す気持ちの表現かもしれませんが、犬が馬鹿だったのでしょうか?
親子が歩く姿
犬と飼い主のリーシ歩行は「人間の親子が手をつないで道を歩いている姿」と同じようなものだと、レッスンの際いつも説明しています。親の手を振りほどいて勝手にどんどん先を歩く子供。駄々をこねて暴れ、半分引きずられるように歩く子供。または、親の手をしっかり握り、時々顔を見上げてはまた前を見て歩く子供。どれが理想の図と思いますか? 犬と飼い主をつなぐリーシは、親子が握る手と手なのです。そして、それは「命綱」でもあるのです。6フィートのリーシで、飼い主は愛犬の安全を確保し、守る。また、あのリーシを使って社会を、自分たちの位置を教え、絆を深めるのです。そんな大切な用具であるリーシをちゃんと使えるようになり、道を歩く姿に誰もが微笑ましい気持ちになる愛犬と飼い主を目指したいものです。
次回は、「暮らしやすい犬」と題し、うちの愛犬ノアが一番誇れる部分についての話です。お楽しみに!
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします