シリーズアメリカ再発見㊽
地球は回っている
ハワイ島マウナケアの日の出

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

朝日が差し込み始めたマウナケア山頂の「カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡」Photo @ Mirei Sato

朝日が差し込み始めたマウナケア山頂の「カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡」
Photo @ Mirei Sato

ホテルから迎えのバンに乗り込んだのは、午前1時半過ぎ。暗闇の中、バンは出発した。向かう先は、マウナケアだ。標高4205メートル、太平洋で最も高い山である。その山頂で、日の出を見る。

車窓は、文字通り、真っ暗闇だ。ハワイ島の沿岸には、ぐるりと200キロの周回道路があるが、信号はほとんどない。夜はできるかぎり暗くしようという取り組みで、人工的な照明もないし、白色灯も禁止されている。

なぜかといえば、マウナケアの山頂に、世界トップクラスの天文台と望遠鏡が集まっているからだ。日本の「すばる望遠鏡」をはじめ、11カ国、13基の天文台と望遠鏡がある。

朝日を浴びて燃えるように輝く、日本・国立天文台の「すばる望遠鏡」(左)=マウナケア山頂Photo @ Mirei Sato

朝日を浴びて燃えるように輝く、日本・国立天文台の「すばる望遠鏡」(左)=マウナケア山頂
Photo @ Mirei Sato

濃い暗闇は、島を挙げて、天体観測に協力している結果なのだ。暗い分だけ、月明かりが放つパワーは増幅する。満月の夜は、自動車のヘッドライトをつけなくても島中を走れるほど。マウナケアの山頂では、夜間にキャッチボールもできるとか。明るすぎて、星が見えなくなる。

私が訪れたときは、幸いにも新月の直後で、星はよく見えた。マウナケアの中腹、標高2800メートル付近にある「オニヅカ・ビジターセンター」でバンをとめて外へ出た。しばし星空を観察する。

日の出まで、時間がある。一気に山頂へ行くと高山病にかかって危険なので、たいていのツアーは途中で停車して星空を眺め、徐々に標高を上げながら体を慣らしていく。いわば「一石二鳥」のスケジュールだ。

ハワイ州の鳥でハワイ島に多く生息する「ネーネー」(nene)。突然道路に飛び出してくることもある。間違って車でひき殺してしまうと、かなり高額な罰金を科されるので注意!Photo @ Mirei Sato

ハワイ州の鳥でハワイ島に多く生息する「ネーネー」(nene)。突然道路に飛び出してくることもある。
間違って車でひき殺してしまうと、かなり高額な罰金を科されるので注意!
Photo @ Mirei Sato

天の川に流れ星。ガイドさんが、望遠鏡やレーザーペンを使って説明してくれる。

「自分の誕生月の星座を探してみましょう」ということになった。私のサソリ座は、形で見分けるのが難しく、見えてもいつも水平線のふちにへばりついているような星座だ。だから見当たらないのだろうと諦めたが、「まだのぼってきていないのです。私たちの下に隠れているのです」とガイドさん。

なるほど。言われてみれば当たり前のことなのだが、地球は回っている。星座は、いる場所によって、肉眼で見える季節と見えない季節がある。だから夏の星座とか冬の星座とか呼ぶわけだ。小学校で習ったじゃないか…。

このオニヅカ・ビジターセンターは、スペースシャトル「チャレンジャー」の乗組員で、打ち上げに失敗して事故死した日系アメリカ人、エリソン・オニヅカ宇宙飛行士を記念して名づけられた。

ロサンゼルスの歴史的日系人街、リトル東京にも記念碑があるオニヅカさん。ハワイ島の生まれだった。子供のころ、この夜空を見上げて宇宙にあこがれたのかも知れない。

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