散歩中に、前方から初対面の犬と飼い主が全速力で走り寄って来て、どきどきした飼い主もいるでしょう。誰もが一度は出くわす経験だと思います。愛犬が他の犬に対し社交的ならまだしも、犬が苦手であれば、大変迷惑な行為です。巷には、犬は犬が好きで当たり前と思い込んでいる人が多くいるようですが、それは大きな勘違い。人間にも、社交的な人がいれば、孤独を好んだり、人と関わったりするのが苦手な人がいるように、犬の中にも、同類の犬と遊ぶのが大好きな犬もいれば、他の犬と関わるのが苦手な犬もいます。 今回は、同類の犬に対して犬がどういう行動をとるかについてのお話です。
4つのタイプ
同類の犬に対する行動は、基本的に以下の4つのタイプに分かれます。
•対犬社交的(Dog Social):他の犬との交流を大いに楽しみ、許容範囲が大変広い。相手の犬が少々乱暴・無作法でものんきに構えられる。しかし、対犬と対人の反応は常に同じというわけではなく、犬には大変社交的なのに人間は大の苦手という犬も多い。このタイプの犬で、人が苦手な犬に人慣れさせるには、人間にも犬にも社交的な犬から、人との交流の仕方と信頼することを学ばせるという方法もある。
•対犬寛容的(Dog Tolerant):同類の犬が特別大好きというわけでもないが、平和に共存できる。気を許した友達の犬たちとの交流は楽しみ、知らない犬と初対面でも、大抵、リラックスした態度を保てる。知らない犬が無作法に接してきても我慢できる。
•対犬選択的(Dog Selective):同類の犬の友達はいるが、自分の嫌いな犬のタイプがあったり、無作法な犬に対してすぐにきれてしまったりする。対犬と交流する際、自分のルールで仕切りたがることが多いので(許容範囲が狭い)人間による監視とガイドが必要。繰り返し、犬との正しい交流の仕方をリマインドされる必要もある。家族犬との共存は上手くいく場合が多い。
•対犬攻撃的(Dog Aggressive):同類の犬の友達の数はほんのわずかか、もしくはゼロ。異性なら反応が比較的ましという犬もいる。他の犬には大変短気で我慢がない。リーシ歩行中に対犬に悪い反応を見せる場合は、単にトレーニング不足という理由や、リーシを持つ人間のリーダーシップの弱さが原因のことも。ここでも、犬に対してと、人間への反応は同じというわけではなく、同類の犬は非常に苦手でも、人間は大好きという犬も多い。
タイプは変動する
パピーの頃に対犬社交的だったからと言って、その犬が一生対犬に社交的とは限りません。思春期から成犬期の性格形成の段階で、対犬選択的や対犬攻撃的になる犬もいます。また、対犬との交流で、繰り返し苦い経験をしたことでタイプが変わることもあります。反対に、対犬へのリアクションに問題がある犬でも、地道にきちんとしたトレーニングを続けていけば、他の犬との交流や共存が可能になっていくと場合も多くあります。
大切なのは、飼い主が、一方的な期待や希望で愛犬の対犬タイプを決めたりせず、また、間違った分析をしてしまわないこと。自分の判断に不安があれば、専門家の分析と助けを仰ぐのも良案だと思います。愛犬の対犬タイプがどれかをきちんと認識し、他の犬と関わる際には、タイプに合った交流の仕方をさせることです。また、愛犬以外の他の犬に対しても同じように理解し、対応してあげましょう。要するに、同類の犬の友達がいようがいまいが、平和に共存できれば良いのです。
次回は、「Dementia(認知症)」と題し、犬の寿命が長くなったことで多くみられるようになった老犬にある症状のお話です。
参考資料:http://www.badrap.org/dogdog-tolerance
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