海外教育Navi 第52回
〜一時帰国の有意義な過ごし方〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.子どもを連れて2週間ほど一時帰国します。有意義な過ごし方を教えてください。

前回のコラムでは、一時帰国中におすすめの体験リストをご紹介しました(前回記事へ)。今回も、その続きをお話しします。

日本の地理教育

北海道から沖縄までの代表的な観光地を外国人旅行者のためのジャパン・レール・パスなどで巡り、都道府県の位置や気候、地形、山脈、河川、特産物など、それぞれの地域の特色を旅行体験から学んだという家族もいました。

地理教育とは、各地域の自然環境や社会生活が位置・空間・距離の諸事情によって、どのような影響を受けたかを認識する学習です。国内旅行を活用して地理教育につなげることもできそうです。

理科・科学体験

「なぜかな。どうしてだろう」と、子どもたちは理科や自然が大好きです。子どもたちの科学的な知的好奇心を刺激し、理科的なものの見方や探究心を育てる施設にはどのようなものがあるのでしょうか。

日本各地には身近な不思議から最先端の科学技術まで、理科の学習に役立つものを扱う施設がたくさんあります。「また来年も行きたい!」と、シアトル在住の保護者が、大人も楽しめる施設を紹介してくれました。

<例>
・デジタルアートミュージアム(東京都江東区)
・ぐんま昆虫の森(群馬県桐生市)
・豊田ホタルの里ミュージアム(山口県下関市)
・福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)
・日本科学未来館(東京都江東区)
・うずしお科学館(兵庫県南あわじ市)

職業体験とキャリア教育

子どもたちに大人気の仕事テーマパークです。

<例>
・カンドゥー(千葉県千葉市)
・キッザニア(東京都江東区・兵庫県西宮市)
・ジオラマ京都JAPAN(京都府京都市)

「職業体験」を通して、働くことの目的や意義を家族で話し合う機会にもなります。「進んで働こうとする意欲」「社会貢献の喜びや生きがい」など、キャリア教育が目指す健全な勤労観や職業観を、小さいうちから育てていきたいものです。

政治的教養教育

教育基本法「政治的教養を養うことは、学校教育においても社会教育においてもこれに努めなければならない」に基づき、文部科学省を中心に各府省庁などが「子ども霞が関見学デー」を夏休みに開催しています。これは、子どもたちに政府の施策に対する理解を深めてもらうことを目的としています。

最高裁判所の「夏休み子ども見学会」では通常の庁舎見学とは異なり、大法廷の見学以外にも模擬裁判、判決言い渡し体験、法服姿での記念撮影、パネル展示などが企画されています。

日本で受験する場合

日本の学校への進学を予定しているのであれば、一時帰国の期間は学校説明会や相談会に参加したり、志望校を訪問して学習環境や学校生活の様子を在校生や先生から直接聞いたりできるよい機会です。

海外子女教育振興財団主催の学校説明会・相談会や私学フェアの進学説明会で正しい情報を入手するのも有意義です。進学等に関する不安があるときは海外子女教育振興財団の教育相談窓口に問い合わせることをお勧めします。

短期間でも、帰国生対象の塾や予備校のプログラムを受講し、受験対策の準備を進める子どもも多くいます。

なお帰国して受験する予定がない場合には、災害ボランティアや福祉施設インターン、介護施設補助、小学生を対象にしたサマーキャンプのアシスタント等、日本での社会活動を経験するように勧めています。勤労を通して社会にかかわり、奉仕貢献する体験は大きな財産となるでしょう。

最後に

「日本滞在中に、何ができるようになるか」「何を学ぶか」「日本で得た貴重な体験を、どう生かすか」「そのために何が必要か」など、問題意識を持って過ごすことが何より重要です。

ただの観光にとどまらず、体験で得た知識や情報、疑問や問題意識を考察してみましょう。

これからの時代は自ら課題を見つけ、創造的な思考力と発想力で問題を解決する能力が求められてきます。世界や滞在国と日本の事象を関連づけたり、分析したり比較したりしながら、多様な視点で柔軟に物事を捉える力を身につけていきましょう。

今回の相談員

四つ葉学院代表
西尾 由香

神奈川県の公立小学校教諭として勤務したのち、2005年に、夫のワシントン大学関連病院への転勤に伴い、家族でシアトルに移住。日本教師教育学会、日本小学校英語教育学会の会員として、海外子女教育の研究に携わる。2012年より、シアトル郊外にある四つ葉学院代表を務める。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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