「日本の文化や技術」を
ハリウッドから情報発信

TOP INTERVIEW Vol.9
アメリカ市場に勝負を賭ける日系企業のトップに聞く。
Japan House Los Angeles館長
海部優子 / Yuko Kaifu

 

ハリウッド・ハイランドの2階にあるジャパン・ハウスのショップで
Photo © Keiko Fukuda

 

親日派の裾野広げる

ジャパン・ハウスは外務省の委託事業として、海外における親日派、知日派の裾野を広げていくために設立されました。日本はいいものを持っているけれど、発信に関しては改善の余地があると考えられています。そこで、日本の優れた文化や技術を分かっていただくための情報発信拠点として、世界で3カ所にジャパン・ハウスが開設されました。ほかはサンパウロとロンドンにあり、ここロサンゼルスはアメリカで唯一のロケーションです。

ロサンゼルスには日本に関係する多くの組織があります。LACMA(ロサンゼルス郡立美術館)にはジャパンパビリオンがあり、日米協会、日米文化会館、全米日系人博物館、ジェトロ、国際交流基金、JNTO(日本政府観光局)もあります。そのなかでジャパン・ハウスがどのようにして、日本をショーケースしていくかは大きな課題であり、非常に意味のあるチャレンジだと思います。ほかの団体と差別化を図るということではなく、互いに協力できることを探りながら、win-winの関係性を築いていきたいと考えています。

「地方創生」も柱

2017年12月にはハリウッド・ハイランド(ハリウッドの中心地にある多目的複合施設)の2階にショップがオープンしました。ショップには日本全国を回って探してきた魅力的な物品が置かれています。私自身、ショップに行くたびに新しい発見があります。東京には何でも集まっているようで、実は意外とそうでもないということが分かります。

ジャパン・ハウス活動の柱の一つに「地方創生」が掲げられています。今後、たとえば、特定の県の器を取り上げながら、その器とともにその地方の郷土料理やお酒を紹介するといった企画も実現できるかもしれません。さらに温泉や食材などその地方独特の観光資源も組み合わせることで、観光推進にもつながります。その際には、アメリカ人に対して分かりやすく且つ洗練されたキュレーションを心がけてまいります。

ファシリティの有機的活用

当館にはアメリカ在住の駐在員も含めた日本人、日系人の方々にもぜひお越しいただきたいです。いいな、と思ったら、お友達のアメリカ人に共有していただければ嬉しいです。

2018年には、ロンドンとサンパウロもまわる、3つの巡回展が開催されます。さらに独自の企画展も実施していきます。その際には、当ギャラリーや2018年夏にオープンする5階の多目的ホールなどを有機的に活用し、地元の美術館や大学組織とのコラボレーションなども考えています。5階にはレストランやライブラリーも開設されます。ファシリティがあるということは実は大きな強みです。外部の組織にもそれを利用してほしいと我々からリーチアウトすることが可能になるからです。

5年後の目標? そうですね、ハリウッドに定着し、多くのアメリカ人から親しまれ、日本を知るための重要なスポットになっていることですね。ジャパン・ハウスが、人種、年齢、性別問わず幅広い層に認知していただける存在になれるよう、一歩一歩、着実に取り組んでいきたいと思います。そして、当館で体験したプログラムや、ショップで手に取った日本の物がきっかけになって、その後日本に行ってきました、ですとか、自分の進路が決まりましたというような来館者が現れれば、それはとても嬉しいことです。

PROFILE
兵庫県神戸市出身。カナダ・クイーンズ大学社会学部修士号。外務省北米第一課などを経て2001年に在ロサンゼルス日本国総領事館に赴任。その後、全米日系人博物館副館長、ユニオンバンク広報部マネージング・ディレクターを経て2016年より現職。

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