こんな時どうする?
アメリカ生活お役立ちBook〈法律編〉
- 2019年6月3日
- 2019年6月号掲載
交通事故
アメリカでは、特定のエリア以外は車移動がほとんどです。日々、運転中に十分気をつけていても、突然交通事故の被害者になってしまう可能性は誰にでもあります。事故に巻き込まれた時のために、最低限知っておくべき対処法をお教えします。
交通事故に遭ったら
・証人となってくれる目撃者を見つけ、名前と連絡先を確保する
・怪我人がいないかを確認し、怪我の状態によっては救急車を呼ぶ
・車を動かさずに相手の車と事故現場を撮影する
・双方の運転免許証、保険証、車のレジストレーションカードといった情報交換をする
・事故現場の通り名、時間などを記録する
交通事故に遭った際、誰でも最初はパニックになるはず。まずは落ち着いて、冷静に対応することを心がけましょう。車を降りる際は、十分に安全を確認してから外に出てください。事故現場での目撃者の確保は非常に重要です。相手が明らかに加害者だったとしても、自分の非を簡単には認めず、なかには保険会社に嘘の証言をして責任を逃れようとする人もいます。事故に遭ったら、相手と話をするよりも目撃者の確保を優先しましょう。怪我人がいる場合はすぐに911に連絡し、状況によっては応急処置や救急車の手配をしてください。
その後、事故現場の写真や車の損傷状態などを撮影します。事故が起こった場所やぶつけた車のプレートナンバーが分かるように、後ろからも写真を撮っておいてください。撮影が終わったら、安全な場所に車を移動させましょう。道の中央にとどまっていると、二次災害が起こる可能性もあります。双方の情報交換をする際、免許証や保険証などの情報は携帯電話で写真に収めておくのがおすすめです。同乗者がいる場合は、氏名や人数を確認しておきましょう。
ロサンゼルス・カウンティの場合、怪我人がいないと警察は現場に来てくれないことがほとんどです。その場合は当事者たちでしっかりと必要な情報を交換し、あとは保険会社や弁護士に任せましょう。警察官が現場に来た場合、双方から事故状況を聴取して、ポリスレポートが作成されます。このレポートは、のちに保険会社に事故報告をする際に必要となるので、大事に保管しましょう。
保険会社に報告を入れると調査員が派遣され、事故の責任はどちらにあるかを調べたり、車の損害に対する賠償金の割合を相手の調査員と交渉したりします。ポリスレポートは、どちらの過失かを決め、保険請求を行う際の大事な資料です。その後、保険会社の鑑定員が事故車の損害を確認すると、修理費の見積もりが算出されます。
トラブルを防ぐために
事故現場では双方が通常の精神状態ではないため、原因や状況を明確にできません。どちらの過失であるかを判断するのは当事者たちではなく、警察や保険会社です。その場では謝罪や責任の追及などの不用意な発言は控え、ただ必要な情報交換だけに徹しましょう。
後ろからぶつけられた場合、相手がその場では謝ってきても、後日「前の車がバックしてきたからぶつかった」と嘘の証言をするケースがよく見られます。その場合、証拠の有無が極めて重要です。相手の過失を証明できなければ、加害者の保険会社に費用を請求することはできません。そういった理由から、事故現場での目撃者の確保は、のちのトラブルを避けるための第一優先事項なのです。同乗者は証人にはなり得ません。また、あらかじめ車載カメラを設置して録画しておくのも、対策の一つとしておすすめです。
アメリカにおける交通事故で多いのが後ろからの衝突事故ですが、さらに気をつけてほしいのは、交差点での衝突事故です。どんな状況であっても、左折車は直進車に道を譲らなければなりません。信号が黄から赤に変わるタイミングで左折しようとして、急いで交差点に入ってきた直進車と衝突した場合は、左折車の過失となるので気をつけましょう。
まずは弁護士に相談を
事故が起きたら、とにかく早い段階で弁護士に連絡をしましょう。弁護士に事故状況を説明すると、その後どういうアクションを起こせばいいかをアドバイスしてくれます。自分で警察官と直接話したり、保険会社に直接連絡をしたりした際に処理を少し間違えると、正当な損害賠償額がもらえなくなる場合も多々あります。自分ではどうしようもなくなってから弁護士へ相談しても、もう対処できない可能性が高いのです。弁護士は無料で相談にのってくれて、正式な依頼後も成功報酬制をとっているところが多くあります。保険会社へ連絡するよりも先に、まずは日本語の分かる弁護士に相談しましょう。
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