火山大国のアイスランドでは、火山エネルギーを電力に変えるための研究を進めている。アイスランドは世界一の地熱発電先進国だが、火山発電の試みは世界に先駆けて始まったばかりだ。
グリーンテック・メディアによると、アイスランドのクラプラ火山のマグマを利用して英国に電力を輸出する計画が最近報じられたが、開発にかかわる研究者らは、「地熱発電」と報じられていることに同調できないと話す。
「われわれが試みているのは地熱発電ではない」「月面着陸以来もっとも興奮すべき革新的試みだ」と、リバプール大学の地球・海洋・生態学部のヤン・ラバリー教授は話す。
「クラプラ・マグマ・テストベッド」開発計画は、予想されたよりもはるかに浅い地下2.1キロメートルにマグマが発見されたことを受けて始まった。
表層に近いマグマを利用できれば、日本やニュージーランド、メキシコ、チリ、ドイツ、イタリア、フランスといった火山活動の活発な多くの国に新型電力がもたらされる可能性がある、と同教授は考えている。
研究はまだ始まったばかりで、リバプール大学は現在、25以上の研究機関と協力して、クラプラ火山に初のマグマ観測所を建設しようとしている。
同研究の調整役を務める英国地質調査所のジョン・ルデン教授によると、「難しいのは、マグマを掘削して爆発をどのように制御するかを学び、その結果をナポリやメキシコといった他国の火山場所に活かすことだ」と話す。
2009年にクラプラのマグマが発見された際は、爆発せずにことなきを得た。科学者らがマグマを掘削した史上3回目の出来事だった。しかし、1977年にはやはりクラプラ近くで小さな爆発を起こしたことがある。
クラプラのマグマ自体の温度は、摂氏850度を超える。エネルギー生成に必要なマグマ周辺の超臨海流体は600度前後だ。通常の地熱発電の5〜10倍のエネルギーをもたらすと見込まれる。
ラバリー教授によると、マグマ観測所の設置には1億ドル前後の初期投資がかかり、その後は毎年1000万ドルほどの運営予算が必要になる。基礎研究と同時にマグマの商業利用のための取り組みも進められる計画だ。
【https://www.greentechmedia.com/articles/read/icelands-volcano-power-could-be-the-most-exciting-thing-since-the-moon】(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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