トヨタ研究部門、「人と共生するAI」を追求

トヨタの研究部門トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)は、エネルギー・材料、人工知能(AI)、機械学習、人間との対話型運転、ロボット技術という5分野の探求に力を注いでおり、最近は生成AIの開発を発展させている。

■中心はあくまで人間

オートモーティブ・ニュースによると、TRIの研究チームは、車設計にエンジニアリング・パラメーターを組み込み時間を短縮するAI技術や、コードを一行も書かずに、液体の注ぎ方や道具の使い方など60以上のスキルをロボットに教える画期的な生成AIアプローチを発表した。年内にロボットは数百ものスキルを習得できると見られている。

ロボットを幅広い環境で多用途に使えるようにするための画期的な一歩で、TRIのマックス・バジュラチャリヤ上級副社長(ロボット工学担当)は「うまく行けばロボットはさまざまな用途に応用できる」と見ている。 TRIの信念は「テクノロジーは人間をサポートすべき」であり、トヨタ自動車のチーフ・サイエンティストでもあるTRIのギル・プラットCEOは「人間に取って代わるものではない」と話す。

■「IA」の概念

例えば、他の自動車メーカーが最高水準の自動運転技術や、人間の役割を軽減する高度な運転支援システムを追求した時もトヨタは逆の道を進み、「ガーディアン(Guardian)」と呼ばれる運転支援ソフトウェアを開発した。車載カメラで道路を監視するが、車を制御する通常の役割は人間が務める。ガーディアンはあくまで背後で動作し、差し迫った危険を検知した場合にだけ介入する。

作動中の自動運転システムを人間に監督させるのではなく、人間のドライバーを監督、支援するために自動運転を使う。協調戦略のルーツは、心理学者でコンピューター科学者のJ・C・R・リックライダー氏による1960年の論文にある。

リックライダー氏は、AIがやがて人間を時代遅れにするという前提を支持せず、逆転させた。「IA(intelligence amplification=知能の増幅)」という概念を提示し、マサチューセッツ工科大学(MIT)と国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)で研究、実行した。数十年後、両機関で氏と同じ道をたどったプラット氏は、その原則を採用し、TRIにIAの考え方を持ち込んだ。

ガーディアンが特定の安全最優先な状況を扱うのに対し、TRIのヒューマン・インタラクティブ・ドライビング部門は、人間の運転体験にAIを取り入れる方法を模索している。シミュレーターと実走コースでのテストからデータを抽出し、ドライバーの意識レベルがどのようにハンドル操作、ブレーキ、アクセル操作と関係するかの理解を図った。前方の信号が黄色になった時のドライバーの行動も監視し、反応を分析し予測することで、人間にとって直感的で感覚的な方法で運転に支援機能を溶け込ませたいと考えている。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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