髙坂美桜
koyubi studio

PEOPLE SPECIAL
様々な業界で活躍中の話題の人に、過去、現在、そして未来について聞く。

日本、中国、そしてアメリカ——複数の文化を横断してきた原体験を背景に、「デザイン」をコミュニケーションの手段として選び、活動を広げるkoyubi studioの髙坂美桜氏。ニューヨークを拠点に、インディペンデント出版とクライアントワークの両軸で展開する同スタジオの現在地と、これからのビジョンを聞いた。

多文化の中で育まれた「伝える力」への関心

母親が中国出身という背景から、幼少期より日本と中国を行き来する環境で育った。言語や文化の違いを自然に体感する日々の中で、「異なるものをつなぐ」という感覚が強く刻まれていったという。高校時代にアメリカに留学し、その後ロードアイランド州のデザインスクールへ進学した。当初は通訳・翻訳といった言語を介したコミュニケーションに関心を持っていたが、「伝える手段は言葉だけではない」という教師の一言が転機となりグラフィックデザインが、思いや意図を届けられるメディアであると気づき進路を決めた。

koyubi studio設立

大学卒業後、ニューヨークでフリーランスデザイナーとして複数のプロジェクトに関わる中で、次第に個人で働く現実とチームで創る理想のギャップを感じるようになった。同じ方向を信じてものづくりをしたいという思いで仲間と立ち上げたのがkoyubi studioだ。現在は3人で活動しプロジェクト単位で活動している。

koyubi studioでは、クライアントワークと自主制作を並行して行っている。イラスト制作などの受注業務で得た収益をもとに、自主的な出版活動へと投資する循環型のスタイルを確立している。特に力を入れているのが、アートブックフェアを中心としたインディ出版。読者と直接対話できるこの文化に魅力を感じ、これまで複数の書籍を制作・販売してきた。

文化をリミックスする

koyubi studioの代表作の一つが、日本語タイポグラフィーを英語で解説した書籍「J Type 101」だ。日本語デザインに興味を持つ海外デザイナーの増加を背景に、基礎から理解できる資料がないという課題に応える形で制作し基本から実務的な組版知識までを網羅する。海外の教育機関でも取り上げられ、高い評価を受けている。

活動の中で感じるのは、日本文化に対する関心の高さと同時に、ステレオタイプ的な理解の存在だ。しかし髙坂氏はそれを否定するのではなく、「対話の入口」として捉えている。「新しいものはゼロからは生まれない。異なる文化が混ざり合うことで進化していく。その上で重要なのが“リスペクト”であり、その第一歩が知ること」だと語る。

心を柔らかく好奇心をもつ

最後に、これからアメリカで学び、働く人々へのメッセージを聞くと「心を柔らかくして、好奇心を持って人と接すること」だと教えてくれた。言語の壁や文化の違いに直面する中でも、他者への興味を持ち続けることで、思いがけない出会いやチャンスが生まれる。多様な人々が集まるアメリカだからこそ、その姿勢が大きな可能性を開く鍵となるそうだ。

koyubi studio
https://www.koyubi.studio/
Instagram
https://www.instagram.com/koyubi.studio/

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