グーグル・ベンチャーの特異なやり方 〜運用益を全員で分配、会議は火曜

 グーグル(Google)傘下の投資会社グーグル・ベンチャー(Google Venture)は、既存のベンチャー・キャピタル(VC)が数多く集結するメンロー・パークのサンド・ヒル・ロードから10マイル離れた場所に拠点を構える。

 グーグル・ベンチャーは、シリコン・バレーの一般的なVCとは少し異なる組織で、その10マイルという距離だけでなく、運営手法もほかのVCと一線を画す存在だ。

 ニューヨーク・タイムズによると、グーグル・ベンチャーはまず、ほかのVCのように外部からの資金に一切頼らず、すべて親会社の資金でまかなわれている点において決定的に異なる。また、投資資金運用益は全従業員に公平に分配される点でも異色だ。

 通常、新興企業への投資が成功して運用益が出た場合、VCは、「キャリー(carry)」と呼ばれる報酬を分配するが、ほとんどのVCでは、キャリーを受け取るのはパートナーに限られる。

 かたやグーグル・ベンチャーでは、所属する60人全員が役職に関係なく運用益を受け取る。

 グーグルの統括パートナーを務めるビル・マリス氏は、「成功する唯一の方法は、誰もが利益を得ることだ」と話す。

 同社ではまた、どのVCでも月曜日に開く週例会議を火曜日に開く。週末明けに従業員に余裕を持たせると同時に、ほかのVCが多忙なときに起業家たちと会議できるようにする狙いもある。そして何よりも、月曜の朝から会議をしたい人は誰もいないという点もある。

 グーグル・ベンチャーはさらに、全ての関係者を会議に出席させる。上下関係や序列を超えた次元での業務展開を狙ったものだと同社は説明する。

 「従業員を満足させるには、彼らが会社から使われていると感じない充分な手当を受け取り、そして自分で仕事を見つけられる環境を整備すること」とマリス氏は語る。

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