クラウドの脆弱さが露呈 〜アマゾンのデータ・センター事故で懸念増大

 アマゾン(Amazon)が首都ワシントンDCの郊外のバージニア州北部に所有するデータ・センターで25日に49分間にわたってハードウェアに問題が発生し、同社のウェブ・サービスを利用する人気オンライン・サービスのインスタグラム(Instagram)やヴァイン(Vine)、モバイル雑誌アプリケーションのフリップボード(Flipboard)らが影響を受けた。

 クラウド・サービスの事故はアマゾン以外でも相次いでおり、今回の事故を受けて、ウェブ企業が一つのクラウド事業社、しかも1ヵ所のデータ・センターに依存する現状に警鐘を鳴らす動きが強まっている。

 ビジネスウィークによると、アマゾンを含むクラウド事業社は顧客企業に対し、障害対策として複数のデータ・センター間で稼働負荷を分散することを推奨している。

 しかし実際には、それを実行する企業は少ない。また、効果的な障害対策が想像以上に困難なことも、アマゾンの事故によって改めて露呈された格好だ。

 障害対策として予備データ・センターを準備する企業が少ない背景には、コスト上昇に対する懸念や、末端利用者側でウェブサイト読み込みやアプリケーション動作に従来よりも時間がかかるのではないかという恐れがある。

 もう一つの問題は、リスク管理を目的とした複数事業社によるクラウド・サービスの利用が、顧客企業にとって難しいことが挙げられる。

 クラウド利用企業にとっては、基幹網サービスを1社から購入し、他社サービスを予備として利用するのが理想だが、大手クラウド事業社はこの種の相互運用に対するサポートには消極的だ。

 オープン・ソース構想のオープンスタック(OpenStack)は相互運用の簡便化を目指しているものの、その技術開発は初期段階であり、企業顧客の間にはまだ普及していない。

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