IBM、サーバー事業売却でレノボと交渉 〜 脱ハードウェアをさらに強化

 IBMは、事業再編の一環として、低価格サーバー事業を売却する計画だ。同社は、同事業の売却先として中国レノボ(Lenovo Group)や米デル(Dell)と交渉を進めているとみられる。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、レノボは、消費者向けパソコン販売で快進撃を続け、ヒューレット・パッカード(HP)とデルを抜き去って世界最大手にのし上がったが、同市場の成長頭打ちを受けて、利幅がパソコンより大きな企業向けサーバー事業への進出に強い関心を持っている。

 ブルームバーグによると、現時点では、デルへの売却よりもレノボへの売却のほうが交渉成立の可能性が高く、早ければ数週間以内での合意成立も考えられる。

 IBMの同事業売却希望額は明らかではないが、IBMとレノボが2013年に同事業の売買交渉に初めて臨んだ際には、レノボが同事業の価値を25億ドル以下と査定したため、交渉が決裂したという経緯がある。

 一方、IBMは10年以上前から脱ハードウェア路線を掲げ、ソフトウェアとITサービスを根幹事業として位置づけ、パソコン事業を2005年にレノボに売却した。IBMはその後、同社が圧倒的強さを誇るメインフレーム事業と、利益率が高かった業務用サーバーを、数少ないハードウェア事業として維持してきた。

 しかし、近年、サーバーの消耗品化と薄利化が進み、市場競争も激化し、さらに、データ・センターを独自に建設して単独で運用するインターネット大手がクラウド・サーバーを自ら設計して受託製造業者に発注するといった新たな動向も出てきたため、将来への見通しが毎年悪化していた。

 IBMではそのため、サーバー事業から撤退することで、人工知能および大規模データ分析システムのワトソンやクラウド電算、予想分析に事業資源を集中させる戦略に軌道修正し、さらなる脱ハードウェア路線を進む方針だ。

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