グーグル・グラス、ER医師の標準装備に 〜 ベス・イスラエル病院が導入

 グーグルのめがね型情報端末「グーグル・グラス(Google Glass)」が医療分野で導入され始めている。

 ボストン・グローブ紙によると、ニューヨーク市のベス・イスラエル・ディーコネス医療センターでは、救命に役立つという理由から2013年末にグーグル・グラスを試験的に導入し、同病院のスティーブン・ホーン医師がその効果を実証した。

 2014年1月に、男性患者が脳出血で担ぎ込まれた際、降圧剤を一刻も早く投与する必要があったが、患者はホーン医師に「一部の薬にアレルギーがある」と告げたものの詳しい種類が分からず、患者の過去の診断記録を調べる時間がなかったため、装着していたグーグル・グラスを使ったところ、必要情報をすぐに呼び出せたことで適切な薬を投与できた、とホーン氏は説明した。

 同病院は先日、グーグル・グラスの使用を救急救命(ER)部門全体に広げ、ER医師の標準装備にすると発表した。日常的な治療にグーグル・グラスを取り入れたのは同病院が全米で初めて。

 ベス・イスラエルが導入したグーグル・グラスは、サンフランシスコの新興企業ウェアラブル・インテリジェンスが機能を調整し、クイック・リスポンス(QR)コードを読めるよう改良された。

 同病院の入院病棟には部屋の外に各患者のQRコードが貼られ、医師が入室する前にグーグル・グラスでそれをスキャンすると、院内データベースの関連記録がスクリーン上に表れる。

 グーグル・グラスのスクリーンには目障りにならないよう情報が一度に数行ずつ表示され、頭を傾けると追加情報をスクロールできるように設定されている。

 グーグル・グラスの利点は、手を使わずに操作できるほか、常に起動中で目の前にあり、いつでも情報を入手できることだ。患者と話しながらでも相手から目を離さず、部屋を出たりすることもなく素早く情報を得られる。

 グーグル・グラスはベス・イスラエルのほかにも、全米の病院や診療所で、専門医との遠隔会談、手術の撮影や補助、患者の生命徴候といったデータへの迅速アクセス、医師のメモといった用途で試験的に導入されている。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る