航空会社、機内ワイファイ規格の選択に直面 〜 商機拡大を背景に導入強化
- 2014年4月28日
- ハイテク情報
衛星通信技術の発達で旅客機内での高速無線LAN(ワイファイ)の利用が可能になり、旅行者にとっては接続の改善、関連企業にとってはシステムの販売増が見込まれている。
ただ、KuバンドとKaバンドという二つの異なる周波数帯規格が存在するため、航空会社はどちらを選ぶかの判断で苦労している。
ロイター通信によると、米国では連邦航空局(FAA)が2013年11月に、離着陸時を含む全飛行過程におけるスマートフォンやタブレット、電子リーダーといった携帯型電子機器の使用を認めたため、機内のインターネット接続市場が一気に拡大した。
現在、米航空会社の約40%が機内ワイファイを提供しており、その動きは米国外にも拡大する見通しだ。
調査会社IHSは、ワイファイやモバイル・サービスを提供する民間機の数が向こう10年間に現在の約4000機から1万4000機に増えると予想。それでもワイファイ搭載機は2022年時点で世界の旅客機の約半分にとどまるため、需要は長く続く可能性がある。
米旅客機の多くは現在の地上ベースから衛星ベースに機内ワイファイ・システムを更新しなければならないが、それによって地上と同様の高速接続が可能となり、機内の接続速度は2015年には約70メガビット/秒(mbps)と7倍速く、2時間の高精細画像映画を約4分でダウンロードできるようになる。
世界的なサービス拡張や高速化でワイファイ利用者が増えれば、接続業者や航空会社の売り上げが増えるほか、航空機にはアンテナや無線、ルーターを搭載しなければならないため、ハードウェアの売り上げも促進される。
電子制御システム大手ハネウェルの場合、Kaバンドという高い周波数帯域を使った英インマルサットの「グローバル・エクスプレス」(GX)通信網とつながる機体用アンテナを製造する。同システムは世界のほぼ全域で50mbpsの接続を提供でき、2015年にサービスを開始する。
それに対し、Kuバンドは、より低い周波数帯域を使う規格。地域によってはKaバンドより速いが、全般的に接続の安定度が低く、特に海を越える長距離便ではその傾向が強まる。
航空機専門の米接続業者ゴーゴー(Gogo)は、シンコム・ソリューションズ(ThinKom Solutions)製のアンテナを使ってKuバンド接続の速度を現行の3〜10mbpsから70mbpsまで引き上げる2Kuシステムを発表した。
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