夢の素材グラフェンの実用化に期待 〜 消費者電子機器を劇的に進化させる
- 2014年4月28日
- ハイテク情報
消費者電子製品業界の将来を担う素材として、グラフェンが注目されている。
ニューヨーク・タイムズによると、 グラフェンは原子1個分の厚みしかない薄膜状の炭素で、現在知られている素材としては最も強くて非常に薄く、電気や熱の伝導性が高いうえ、曲げやすく透明で、しかも安いという非常に大きな利点がいくつもある。
そのため、曲げられる小型装置や超充電量子コンピュータ、電子服、体内で細胞と交信できるコンピュータの開発につながると期待されている。
グラフェンは10年前に発見され、2010年に英マンチェスター大学の物理学者二人が関連実験でノーベル賞を受賞したことで注目された。最近では、商業的な生産方法が研究されている。
米化学会(ACS)によると、グラフェンは鉄鋼の200倍も強じんで非常に薄いため、1オンスあればフットボール競技場28個を覆うことができる。
中国の研究班は、重さが空気の7分の1という超軽量素材グラフェン・エアロゲルを開発している。
グラフェンのように透明で伝導性が高く、柔軟な素材は極めて少ない。コロンビア大学の研究者によると、シリコンは1%伸ばすと割れるが、グラフェンは20%伸ばしても電気を通す。
既存の電子製品のほとんどは、グラフェンを使うことで一層速く、薄く、安くなると考えられる。また、グラフェンは液体内でも酸化しないため、水中に沈めて長期間使う電池や、体内に埋め込む機器の可能性も広がる。
ノースウェスタン大学の研究班は、グラフェンとシリコンを組み合わせた電池を2011年に試作しており、15分の充電で1週間以上続けて使える携帯電話の開発につながる可能性も出てきた。
また、ACSは「グラフェンの研究が進めばタッチスクリーンが進化し、紙のように薄く、折り畳んでポケットに入れられる携帯電話ができる可能性がある」と考えている。
一方、マンチェスター大学では、ガス検知器やバイオ検知器、照明検知器をグラフェンによってさらに小型化する研究を進めている。
かたや韓国サムスンの先進技術研究所はこのほど、「トランジスタ生産に使える良質のグラフェンをシリコン・ウエハー上で作る方法を発見した」と発表した。
サムスンの発見は、柔軟なディスプレイや装着型端末といった次世代電子機器の生産が可能になることを意味し、エクストリーム・テックの記者はサムスンの技術が「グラフェン商業生産のための重大要素となる可能性がある」と伝えた。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年5月20日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
人工知能が農業におよぼす大きな変革 〜 遺伝子情報を駆使した品種改良に貢献
-
米技術大手ら、メキシコでの製造拡大に注力 〜 台湾の技術製品メーカーらに熱心に働きかけ
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国内都市圏の住宅所有者らは自然災害に要注意〜異常気象による損害危険の高い地域が明確に
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ドライバーの過半数が「AVは怖い」~AAA調査
-
2024年5月13日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EVへの関心、ますます低下~消費者、メーカーの思惑に反し
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至