あらゆる角度の日差しに対応 〜 グリント、ソーラー発電向け新素材を開発
- 2014年8月18日
- 環境ビジネス
ソーラー・パネルはこれまで、装置にまっすぐ当たる光からしか発電できなかったが、あらゆる角度の日差しを活用できる新素材が開発された。
オイルプライス誌によると、カリフォルニア州の新興企業グリント・フォトニクス(Glint Photonics)が開発した新素材は、時間帯によって入射角が異なる日光をすべて取り込める。そのため、パネルの角度制御装置を設置する必要がない。
米エネルギー省も同技術を高く評価し、最先端研究プロジェクト局(ARPA-E)から研究助成金を支給している。
近年、ソーラー・パネルには複雑な仕組みが取り入れられているほか、より小さく、より低価格のソーラー・セル(太陽電池の基幹部品)が作れるようになった。
しかし、既存の方法は鏡やレンズを使うため、太陽の動きに合わせて角度を正確に調整しなければならず、その安定性を確保するために高価な鉄やコンクリートの構造物が必要になる。
それに対しグリントの集光技術は、比較的単純ではるかに安上がりだ。まず必要なのは、日光を集めるための安くて薄いレンズと、従来のパネルの500倍の光を集められるガラス板。
このガラス板は、両面が反射性の素材で覆われ、日光を内部に閉じ込める。ガラス板に入った光のエネルギーは、裏と表の素材の間を往復しながら端にたどり着くため、エネルギーの集中する端を小さなセルと接続すれば効率良く光エネルギーを吸収し発電できる。
一方、ガラス表面の素材は、太陽の動きに合わせて異なる角度から差し込む陽光を最大限に吸収できるよう自己調整するため、日光を正面から受けるための構造は必要ない。
グリントのピーター・コゾドイ最高経営責任者(CEO)によると、同社のパネルは、市販されれば1キロワット時あたりの発電コストがわずか4セントと、従来の最高級パネルの半分で済む。
同社は、幅約1インチの小さな試作品を使った実験しか行っていないが、エネルギー省から受け取る220万ドルの助成金によって、商業用でもほぼ十分な大きさの幅約1フットのパネルで実験を開始できる見通しだ。
ARPA-Eのプログラム責任者によると、残る課題はレンズとガラス板からソーラー・セルに供給される日光量をいま以上に増やす方法を見つけることだ。
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