太陽電池冷却性能で発電効率と寿命を向上 〜 スタンフォード大学の研究班
- 2014年8月18日
- 環境ビジネス
スタンフォード大学のシャンフイ・ファン氏が率いる研究班は、太陽電池に冷却性能をもたらすことで、発電効率と製品寿命を向上させる方法を開発した。
クリーンテクニカ誌によると、ファン氏らが開発した方法は、通常の太陽電池に特殊パターンのシリカ製ガラスの層を重ねることで、不要な熱の吸収を回避し、太陽電池の温度を下げることができる。
この研究成果は、光学学会(The Optical Society)の発行する専門誌「オプティカ(Optica)」に発表された。
太陽電池は、通常の運用で華氏130度(摂氏55度)以上の温度に達し、その温度が発電効率と製品寿命に影響することが知られている。しかし、冷却扇風機や冷却剤を使用する能動的な冷却機能を付加すれば、コストが高まるうえ、日光への露出を最大限に高めるという本来の目的を阻害する可能性がある。
今回発表された方法は、受動的な方法と言える。三角錐や円錐の形をした微細のシリカ・ガラスを超薄膜にして重ねることで、不要な熱をもたらす赤外線を太陽電池の表面から反射する。
太陽電池は、半導体部分に光子が投射する際、原子から電子を剥離して電気が自由に流れるようにすることで、電流を作り出す。しかし、その過程で電力に変換されなかった太陽エネルギーは廃熱となり、太陽電池の性能を下げる。温度が摂氏1度上昇するごとに、発電効率は約0.5%下がる。
太陽電池を受動的に冷却するには、光の基本特性を利用する必要がある。光は波長の違いによって太陽電池への反応の仕方が異なり、可視光線は電力生成の効率が最も高く、赤外線は熱生成の効率が最も高い。また、波長が異なれば、透過する素材によって屈曲の仕方も異なる。
研究班は、その特性を利用して、可視光線を透過させる一方で、赤外線は反射する仕組みを作り上げた。
シリカの層は2層あり、約5ミリの平らな層と、数ミクロンの三角錐および円錐の層で構成されている。三角錐と円錐の幅や高さを精密に設定することで、赤外線が反射されるようになっている。
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