心疾患の死亡率を20%改善〜ノバルティス新薬にヒットの期待

 スイスの製薬大手ノバルティスは、開発中の新薬が心疾患の死亡率を他社の薬より20%低下させたと発表した。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、同社の新薬「LCZ696」(開発コード)は、慢性心不全患者向けに開発された。臨床試験では8400人以上の患者を対象に、現在最も一般的に処方されている低価格の後発薬エナラプリルと比較した結果、LCZ969を服用した患者は、あらゆる原因を合わせた死亡率がエナラプリルを服用した患者より16%低く、入院率は21%低かった。

 LCZ696は、2つの薬を組み合わせて作られ、1つは血管を細める血中ホルモンの形成を阻止するエナラプリルのようなACE阻害剤と似た働き、もう1つは心臓の自然な防御機能を強化し、血量や血圧の上昇に対応できるようにする働きがある。

 服用は1日2回で、高血圧/低血圧のリスク上昇やせきなどの副作用があるが、血圧の副作用に関しては試験を離脱するほどの患者は少なく、せきはエナラプリルでも見られる。

 先進国では高齢者の慢性心不全が増えており、心不全を含む心血管疾患は世界的な死因の首位となっている。しかし治療薬はこの10年ほど変わっておらず、死亡率が15%以上改善しない限り医師は高価な新薬には切り替えないと見られていた。LCZ696はその基準を上回る改善を証明したため、業界アナリストは「ピーク時の売り上げは20〜60億ドルに上る可能性がある」と見ている。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る