保険業界、技術導入を積極化 〜 クラウドや自動化、データ解析で業務効率化

 英米の保険業界では昨今、業務の効率化やリスク回避を目的に技術の積極的な活用が進んでいる。

 フォーブス誌が報じたアクセンチュア(Accenture)の調査結果によると、保険会社の73%は、カスタマイズ(特定利用企業向けに特化および専用化)された顧客体験の提供を優先項目に挙げ、また、カスタマイズ技術への投資から利益をすでに得ていると回答した企業も半数に上った。

 そのほか、回答企業の51%は、デジタル技術およびクラウド・プラットフォーム大手との提携を計画していた。64%の企業は「デジタル・パートナー」を保険業界内に求め、45%は保険業界以外でパートナーを探そうとしていた。

 それと同時に、技術業界の大手も最近では保険業界向け製品の開発に注力する方針を強めている。

 たとえば、グーグル(Google)は、自動車保険の比較購入サービス提供で保険会社13社と提携した。保険やクレジット・カードを格付けする比較サイトは英国では一般的で、米国でもマグニファイ・マニー(Magnify Money)やクレジット・カルマ(Credit Karma)が提供している。

 比較サービスの登場によって、代理店を通した従来の保険販売モデルがオンライン販売に取って代わられる可能性が強まっている。2014年には、サービスの悪さを理由に消費者の66%が保険会社を最低1社変えていた。

 また、クラウド基盤アプリケーションを採用する保険会社も増えている。

 新技術導入の影響は保険業界の雇用にも及んでおり、償還請求処理を含む一部の分野では以前ほど多くの人員を必要としなくなった。

 自動化技術はそういった新技術の一つだ。たとえば、旅行保険会社は、航空便の遅延やキャンセルに対する保険料金支払いを自動化し、自動車保険会社は、損傷した車両の写真だけにもとづいて償還請求を処理している。

 さらに、データ解析技術の活用によって顧客ごとにリスクを分析し、保険掛け金を決めるといった保険業界の本質を変えるような試みも進行中だ。150〜200人のデータ解析専門家を雇う保険会社もある。

 また、穀物や土壌、気象データをもとに農地ごとに保険掛け金を決める農作物保険会社では、優良農家を引きつけ、保険会社にとってのリスクを避けることにデータ解析技術を役立てている。

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